マクロビオティックとビーガンは何が違うの?
野菜を中心に食べると聞くとベジタリアン、ビーガン、マクロビアン(マクロビオティックをしている人)などが思いつくのではないでしょうか?
マクロビオティックの考え方、ビーガンの考え方、マクロビオティックとビーガンの考え、食べ物への対応の違い、似ている点や間違われる理由をご紹介致します。
東京オリンピックも近くなり海外の方も増え、ビーガンやマクロビアンの方にお会いし食事をする機会もあると思います。ぜひこちらを生かしてください。
■マクロビとは?
まずはマクロビについて詳しくご紹介します。
日本人が考案し、提唱しているもの
日本人である桜沢如一が、同じく日本人である石塚左玄の「食物養生法」の考えと、中国など東洋で用いられている「易」の陰陽を組み合わせを食養法として提唱しています。
桜沢は医師や栄養士ではないのですが、体が弱ったときに自身が独自に行った食養法で健康になった体験を元に提唱しています。
陰陽論をもとにした食事法
昔から中国では「易」の陰陽で、すべてのものをみる価値観があります。このため、食べ物、調理法なども陰陽に分類しています。
陰陽と言われると2つのみの善悪に分類されていると思いますが、極陰性、陰性、中庸、陽性、極陽性の幅があります。5つに分類されているのではなく、陰性寄りの中庸などもあることから完全に分類されるのではなく、配置されているイメージをもつと分かりやすいです。
色々な陰陽の食べ物、調理法などを使い、陰陽のバランスをとることで健康を維持できると考えられている食事法です。
陰陽に分けなくともバランスよく食べることは健康を維持することに必要と考えられているため、似ている部分になりますが、マクロビオティックでは、陰陽論を用いてバランスをとるように勧めていることが特徴です。
白砂糖を使用せず、肉類や乳製品を使わない
極陰性、極陽性のものを多く利用すると陰陽のバランスを保つのが難しくなります。このため、特に、極陰性食品で避けるべきものには白砂糖、化学調味料、合成日本酒などあります。反対に陽性食品は肉類、乳製品、塩などです。
白砂糖に関しては、血糖が上昇し下降しやすいため身体に負担がかかると考えられています。
そのほかに、ビタミンB1不足になりやすく疲れやすくなること、必須な栄養素がないことも陰陽のバランスを取りにくくすること以外に使用しないということが挙げられます。
皮や根なども一緒に摂る
マクロビオティックでは「一物全体」という考えも取り入れられています。一物全体とは、ひとつのものを丸ごと食べるということです。
つまり、野菜の皮、葉は捨てずにそのまま、精白米にせず玄米のまま食べる、ということです。
野菜の皮や葉の部分には栄養が豊富である場合が多く、食べられる部分であるため残飯が減り、コストパフォーマンスも良くなるので身体にも自然にも財布にも優しいですね。
ただし、そのまま食べるため農薬が残存していると良くないため、できるだけオーガニックなものを利用をおすすめします。
地産地消している
マクロビオティックでは「身土不二」という考えも取り入れられています。身土不二とは、身体と土地は二つにできないという意味です。つまり、自分が住んでいる土地、環境は一体であるということです。土地で採れた物を食べ、季節に合った物、旬の物を食べることをすすめています。
土地で採れた物を食べるために家庭菜園を絶対にしなければいけない訳ではありません
地元で採れた物は輸送時間がないために保存料を使用していないこと、トラックや飛行機で輸送しないためガソリンが消費されないこと、輸送の手間がないためコストが安いことなどのメリットがあります。身体にも自然にも財布にも身土不二の考えは優しいですね。
ビーガンとは?
次に、ビーガンについて詳しくみていきましょう。
純粋菜食者、完全菜食主義者
ビーガンとは、日本語訳では「純粋菜食者、絶対菜食主義者」のことです。ベジタリアンの一種です。ベジタリアンとは、穀物、豆類、種実類、野菜、果物を中心に食べ、動物性食品を食べない人たちのことです。
ベジタリアンになる理由は、菜食が勧められているヒンドゥー教などの宗教を信仰している場合、動物を殺したり、苦しめたりさせたくない気持ちを強く持っています。
また、環境保護のために肉食は良くないという気持ち、菜食は身体に良く肉食は身体に害と考えているなどの個人的な思考を持つ場合、肉や乳製品にアレルギーがあり健康的に食べられない場合があります。
動物性食品を摂らない
ベジタリアンは、ラクト・オボ・ベジタリアン、ラクト・ベジタリアン、オボ・ベジタリアン、ビーガンに動物性食品のうち食べて良い許容範囲によって分けられています。
ビーガンは、動物性食品である肉、魚、卵、乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど)、ハチミツを完全に食べません。
ラクト・オボ・ベジタリアンは、卵、乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど)、はちみつは食べて良いとするベジタリアンです。ラクト・ベジタリアンは、乳製品(牛乳、ヨーグルトなど)、はちみつは食べても良いとするベジタリアンです。
ただし、乳製品の中でチーズは作り方に気を付けて食べている。牛を殺し胃の消化液を集めた凝乳酵素を使用したチーズは食べない。
オボ・ベジタリアンは、卵、はちみつは食べても良いとするベジタリアンです。卵はどの種類も食べても良いが、無精卵に限定する人もいます。
ウールやシルクなどの衣類も着用しない!インフルエンザの予防接種もしない
ビーガンは食事の面でも許容範囲もなく、すべての動物性食品を食べませんが、それは動物の殺生を避けることを理由にしています。そのため、毛皮(熊など)や革製品(ワニなど)、ウール(羊毛)、シルク(蚕の繭)などの動物を使った製品も着用しません。
熊の毛皮、ワニの皮は殺さないと手に入れることができないので分かりやすいですね。インフルエンザの予防接種も受けません。インフルエンザのワクチンには問診票に卵アレルギーがないか書いてあることから分かるように卵が使われています。
マクロビとビーガンの違い
では、マクロビとビーガンの違いについてわかりやすく比べてみましょう。
マクロビオティックとビーガンの考え方
<マクロビオティック>
・極陰性や極陽性のものを避け、陰陽のバランスを取ることを大切にする陰陽思想
・食材を丸ごと食べるなど一物全体の考え
・地元の物を旬に食べるなど身土不二の考え
<ビーガン>
・動物の命を尊重しているため、動物性食品だけでなく、動物由来の製品も避ける
動物性食品への対応
<マクロビオティック>
・陰陽のバランスを取るために避けるべきと提唱しているが、絶対に食べてはいけないと禁止されていないため、食べても良い。
・白砂糖を避けるべきとしているのに対し、はちみつは白砂糖に代わるものとして積極的に取り入れられている。
<ビーガン>
・動物を殺すことになるため、絶対に食べてはいけないと禁止している。
・肉に限らず、卵や乳製品、はちみつも禁止している。
マクロビとビーガンが似ているところ
マクロビとビーガンは違いますが、似ていることもあります。
なぜ一緒くたにされるのか
マクロビオティックといえば、玄米を中心とした野菜を食べ、動物性食品を避ける食事だという認識が強いです。ビーガンも、野菜のみを食べ動物性食品は食べない食事だと認識されています。
野菜を中心、動物性食品を食べないという点から一緒くたにされてしまうのです。マクロビオティックをしっかりしている人はビーガンのことには詳しくないですし、反対にビーガンの人はマクロビオティックのことは詳しくないためお互いに違いが言いにくい状況も原因です。
植物性中心の食生活
ビーガンは、植物性食品であれば、すべて食べて良いです。
マクロビオティックは、植物性であればすべて食べて良いのではなく、陰陽のバランスをとることから、なす、トマトなど陰性の強い野菜は避けられています。
陰性の強い野菜であるなす、トマトも調理方法で火を通すことで陰性から中庸に近づける工夫もすることもでき、食べることを禁止されているわけではありません。
動物性食品を控えている
ビーガンは動物性食品を絶対に食べません。
マクロビオティックでは、避けた方が良いとされる陰性の食品に牛乳など乳製品があり、避けた方が良いとされる陽性の食品に豚肉、牛肉、鶏肉などの肉類、ぶり、さば、まぐろなどの魚介類、卵などがあります。絶対に食べてはいけないわけではありませんが、避けた方がよいとされています。
マクロビオティックとビーガンは何が違うの?のまとめ
マクロビとは桜沢如一自身が独自に行った食事法です。中国の易の陰陽を食べ物に当てはめ、陰陽のバランスをとる考え、ひとつのものを丸ごと食べるという一物全体の考え、土地で採れた物、旬の物を食べる身土不二の考えが大きな軸です。
ビーガンとはベジタリアンの1つで、動物の命を尊重することを大切にして、穀物、豆類、種実類、野菜、果物を中心に食べ、動物性食品を食べない人たちのことです。さらに、毛皮や革製品、シルク、インフルエンザワクチンなどの動物を使った製品も利用しません。
マクロビとビーガンの違いは、陰陽思想、一物全体、身土不二の考え方と動物の命を尊重し、苦しめたり殺したりしない考えと違います。
動物性食品はマクロビでは陰陽のバランスを考え避けるのに対し、ビーガンでは絶対に食べないと許容範囲が異なります。
ビーガンは動物性食品以外はなんでも食べることができるのに対し、マクロビは、陰陽のバランスの取りにくい白砂糖、アルコール、なす、肉類などを量や頻度、調理方法の工夫などを気を付けて食べる必要があります。
マクロビオティックに関する記事一覧
-
マクロビオティックの陰陽調和の意味と調味料の選び方
マクロビオティックには、陰陽調和という基本的な原則があります。食材や料理法をはじめ、あらゆるものには、「陰性」と「陽性」の両面の性質が存在するという考えでその性質がバランスをとり調和ができている状態を
-
マクロビオティックの陰陽調和の意味と「陰陽表」の見方
マクロビオティックには、「陰」「陽」という言葉が頻繁に登場します。アメリカでは、陰=Yin(イン)陽=Yan(ヤン)と発音されます。日本でも陰陽道、陰陽論など耳にすることもあり、東洋的な理論、世界観と
-
マクロビアンの正しい意味と、ベジタリアンとの違い
マクロビオティックを実践している人を「マクロビアン」と呼ぶことがあります。マクロビオティックは、玄米菜食を中心にした食生活で健康な暮らしを目指す生活スタイルですが、いわゆる「ベジタリアン」と呼ばれる菜
-
マクロビのダイエット効果と活用方法
マクロビダイエットという言葉をご存知でしょうか。マクロビオティックのルールや食のガイドラインを参考に玄米菜食を中心とした食生活をダイエットとして取り入れる方法です。 痩せたいけどハードな運動は苦
-
マクロビオティックのもたらす効果
海外のモデルや歌手などセレブリティにも支持されているマクロビオティックです。日本でも多くの方が実践するようになり、料理教室やワークショップなど学ぶ場所も増えてきました。 情報も増えてきた一方、や
-
マクロビオティックの基本食「玄米」の健康増進効果
「玄米菜食」を中心にした食生活をおくるのが、マクロビオティックライフです。その基本食である玄米には、健康食、美容食のイメージもあります。玄米には、具体的にどのような健康増進効果があるのでしょうか。白米
-
マクロビオティックの基本「玄米菜食」がもたらす効果
マクロビオティックの基本は、「玄米菜食」です。美容や健康の観点からも「玄米は体によい」と聞くことは多いのですが、玄米を食べることは具体的に身体にどのような効果があるのでしょうか。 また、ヘルシー
-
マクロビオティックの意味
日本でも各地で料理教室やワークショップが開催され、その独特の食事法が注目されている「マクロビオティック」ですが、はじめてこの言葉を聞いた方は、なんだか難しそうなイメージをもたれるかもしれません。
-
マクロビオティック料理の考え方とレシピ
「マクロビオティック」という言葉は知っていてもその本来の意味を詳しく知っている方は、少ないのかもしれません。 マクロビオティックは、単なる食事法と捉えられることも多いものですが、実際には食生活を
-
マクロビオティックの基本知識
雑誌やネット上にも頻繁に登場する「マクロビオティック」という言葉、健康や美容によいイメージはあるけれど、具体的にはよくわからない…そんな方も多いのではないでしょうか。マクロビオティックは、意識の高いハ
-
マクロビ中の外食の注意点とポイント
玄米や野菜などの植物性食品を主体とし、独自の哲学をもとに「食」を考えるマクロビオティックです。家で食事を摂る際には材料から作り方、味付けまで自分で調整できますが、外食だとそういうわけにはいきません。と
-
7号食ダイエットのやり方と回復期について、わかりやすく紹介します!
ダイエットや体質改善などを考えた時に、目にする機会もあるのが「7号食ダイエット」かと思います。8段階に分かれた食事法の中の1つで、玄米を中心に考えられたもので回復食ともいわれています。簡単に言うと、そ
-
詳しく知りたい!6号食の基本とダイエット効果について
ダイエットや体質改善を考えた時に目にする機会もある「6号食」や「7号食ダイエット」という方法があります。 この○○号食というのは、8つに段階分けされた食事の方法のことで、7号食は玄米ごはんのみの
-
マクロビの作り置きは?定番常備菜は?簡単レシピは?これで決まり!
マクロビは陰陽バランスを考えるのが、慣れないうちはとても大変です。マクロビの作り置きや定番の常備菜を作ることができると、毎食の料理で悩むことが減ります。 マクロビの基本の考え、マクロビの作り置き
-
マクロビオティックとビーガンは何が違うの?
野菜を中心に食べると聞くとベジタリアン、ビーガン、マクロビアン(マクロビオティックをしている人)などが思いつくのではないでしょうか? マクロビオティックの考え方、ビーガンの考え方、マクロビオティ
-
離乳食も大丈夫?マクロビの離乳食について解説
マクロビといえば、健康食のイメージが強く、海外セレブも取り入れていることで有名になった食事法です。 一方、離乳食といえば、子育ての中でお母さんたちがものすごく気を使い、悩むカテゴリの1つではない
-
マクロビオティックの陰陽とは?避ける飲み物とおすすめの飲み物は?
マクロビオティックをしてみたいと思った時に全てを一度にするのは大変です。まずは毎日飲む物からだけでも試みたいという人もいるでしょう。 マクロビオティックの考えはどんなものか、その中の1つである陰
-
マクロビオティックとは何?砂糖を使用しないのはなぜ?
マクロビオティックをご存知ですか?ダイエットを考えた人は一度は聞いたことがありますよね。少し調べると砂糖がダメ、肉がダメなど色々制限があり、難しく面倒で宗教的に感じる人もいるでしょう。 マクロビ
健康・ダイエット食の資格
- マクロビオティックマイスター認定試験
- マクロビオティックの語源、考え方、歴史、特徴など基礎知識から実践時の注意点やポイント、使用する食品、季節ごとに食べるべき食品と特徴など実践的な知識を身に付けている方へ認定される資格です。
- マクロビオティック資格詳細を見る
- スムージーソムリエ認定試験
- スムージーソムリエとして、スムージーに関する知識を有していることを認定されます。
- スムージー資格詳細を見る
- スポーツフードマイスター認定試験
-
スポーツフードマイスターとして、スポーツ栄養の基本から毎日の献立・レシピなど実践レベルまで十分に身に付けた方へ認定される資格です。
- スポーツフード資格詳細を見る
- オーガニック野菜アドバイザー認定試験
- オーガニック野菜アドバイザーとして、季節ごとの野菜の産地・栄養素・保存方法・レシピに関する知識を有していることが証明されます。
- 野菜資格詳細を見る
- オーガニックフルーツソムリエ認定試験
- オーガニックフルーツソムリエとして、果物の歴史、選び方、保存方法、栄養成分や薬効成分、種類と特徴、料理のレシピに関する知識を有していることが証明されます。
- フルーツ資格詳細を見る