マクロビオティックの基本「玄米菜食」がもたらす効果
マクロビオティックの基本は、「玄米菜食」です。美容や健康の観点からも「玄米は体によい」と聞くことは多いのですが、玄米を食べることは具体的に身体にどのような効果があるのでしょうか。
また、ヘルシーなイメージのある菜食には、栄養面などの心配はないのでしょうか。玄米菜食の魅力や効果、注意点について詳しく説明していきましょう。
マクロビオティックの玄米菜食とは
マクロビオティックは、玄米菜食主義とも呼ばれています。玄米食を中心にし、肉や卵、乳製品をなるべく避けるようにしていること、また野菜料理を中心にした献立で食生活が構成されているためです。
食の中心を玄米や野菜としているのは、マクロビオティックの2大原則である「身土不二」と「一物全体」そして「陰陽論」が深く影響しており、その理論により導き出された食材が玄米であり、菜食であることが理由となっています。
マクロビの基本ルール
ここでマクロビオティックの基本的ルールである、「身土不二」と「一物全体」そして「陰陽論」について、それぞれの意味を説明しておきましょう。
身土不二:しんどふじ(暮らす土地の旬のものを食べること)
身土不二の「身」には身体、「土」には生活している環境、「不二」には切り離すことはできないという意味があります。マクロビオティックでは、これを「自分が暮らしている環境の中で旬にとれる食材を食べることがよい」と解釈しています。
自分が身を置く環境のものは、自分の体質に合いやすく、それを食べることで風土に適した身体がつくられる、また、旬のものは、栄養価も高く身体にもよいということを示します。
遠くからわざわざ輸送してくる食材というものは、その分排出されるエネルギーや保存のためのエネルギーを無駄に費やすことにもなり、環境にも負荷がかかります。また、長期保存のための農薬や添加物の影響も安全性に不安が残ります。
そのことからも、マクロビオティックでは、食事を健康面、社会面の両方の面から考えることを大切にして身土不二を基本原則としているのです。
一物全体(自然の恵を残さず丸ごといただく)
一物全体の意味は、「ひとつの食材をあるがまま、丸ごと食べてこそ身体によく、残さず食べるという感謝の精神も培われる」というマクロビオティックの考え方です。
例えば、穀物であるお米は、籾を取り除いただけの玄米の状態で食べることが推奨されています。撒けば芽が出る生命のエネルギーをもち、糠の部分には高い栄養価を含有している玄米の状態で丸ごと食べることを実践します。
野菜の場合も皮や根、葉っぱにも高い栄養価が含まれていますので、皮をむかずにそのまま調理し、丸ごと利用することが基本とされています。
マクロビオティックでは、食物のありのままの姿、全体の形をいのちと考え、なるべくそのままに精製などしない状態で食べること、一物全体を基本原則と考えているのです。
マクロビオティックの「陰陽論」
マクロビオティックには、東洋の易である「陰陽」を融合した理論があります。その独自のガイドラインに沿い、食材や調理法の陰陽バランスを考えて食生活をおくることで心身のバランスも整い健康な生活がおくれるとされています。
陰陽論は、マクロビオティックの提唱者である桜沢如一が日本人の昔からの食生活に陰陽理論を加え、実用的な哲学に基づいて考案したものです。
例えば食材陰陽区分には、陰性の食材にトマト・ナス・メロン・筍などがあげられ、共通項として温暖な気候風土で収穫され、成長が早く水分が豊富であること、空に向かって上に伸びる性質があります。季節的には夏の野菜が多く、食べることで身体を冷やす作用があるとされています。
陽性の食材は、ニンジン・ゴボウ・玉ねぎなどがあげられ、涼しい気候風土で収穫され、ゆっくりと育つこと、水分は少なめで地下に向かって伸びる性質があります。冬野菜が多く、食べることで身体をあたためるとされています。
また、調理法にも陰陽区分があり、この理論はあらゆるものに当てはめることができるとされています。
マクロビがもたらすメリット
マクロビオティックを実践すると身体的にも精神的にも変化を感じるようになります。また、自分のことばかりでなく、マクロビオティックのライフスタイルは環境など社会的な問題にもつながります。
身体的側面でのメリット
・健康を維持でき体力の強化につながります。
・肌質が整い美容にも好影響があります。
・睡眠の質があがり不眠の解消につながります。
・便秘が改善し、代謝があがり、ダイエットにもつながります。
・血行・血圧を改善、成人病やガンの発生、老化現象を和らげます。
精神的側面でのメリット
・ストレスに強くなり、前向きになれます。
・判断力の向上や、問題対処能力がアップします。
・気持ちが整うことで周囲の人間関係もスムーズなります。
社会的側面でのメリット
・自然や環境への負担を減らすことになり、エコロジーに寄与することができます。
玄米食の栄養価と効果
マクロビオティックの基本である「玄米食」の栄養価の面、具体的な効果をみていきましょう。
玄米に含まれる主な栄養成分は、ビタミン、鉄分、食物繊維、炭水化物やタンパク質など15種類に及びます。その中でも注目されるのは、ビタミンB1で白米との比率としては5〜8倍も高くなっています。他には、食物繊維の量も多く、白米の6倍、鉄分は2.6倍という数値が検証されています。
ビタミンB1は、炭水化物(糖質)をエネルギーに変え、疲労を回復してくれる大切な役割も果たしてくれています。ビタミンB1が不足すると糖質の代謝が低下しエネルギーが不足してしまい疲労感、倦怠感を感じやすくなります。エネルギー不足は集中力を低下させイライラの原因にもつながります。
玄米に含まれる食物繊維は、胃で消化されずに大腸まで届くことで腸内の善玉菌を増やす役割も担っています。お腹の調子を整え便通をよくしてくれるだけでなく、余分な糖や脂質、ナトリウムなども身体の外に排出してくれるため糖尿病や高血圧、肥満の予防と改善にも効果があるとされています。
さらに玄米は低GI値食品であり、血糖値の急激な上昇を抑制してくれますので糖尿病などのリスクが減るというメリットもあります。
マクロビオティックの玄米菜食がもたらす効果
マクロビオティックの基本「玄米菜食」を続けることにより、どのような効果があるのでしょうか。玄米正食がもたらす身体的、精神的な具体的な効果、そして社会的効果についてもみていきましょう。
玄米菜食の身体的効果
・健康効果:玄米と菜食の栄養価の高さ、低GI値による健康改善、維持
・ダイエット効果:便秘改善と代謝アップ。食べ過ぎの防止による健康的なダイエット効果
・肌質アップ効果:豊富なビタミンの作用による肌荒れ防止や美肌維持効果。便秘の改善から、にきびや吹き出物の減少、美肌効果
玄米菜食の精神的効果
・心理面への効果:気持ちの安定。落ち着き。コミュニケーション能力の向上
・病気予防効果:脳の血流改善。血流促進による記憶力の向上や痴呆予防
玄米菜食の社会的効果
・エコロジー:配送によるコスト、燃料の無駄を省くことができ、エコロジー
・環境保護:農作物や土壌の農薬汚染の回避、環境保護
玄米菜食の注意点
メリットの多い玄米菜食ですが、気をつけるべき点も指摘されています。
栄養素の不足に注意する
避けるべき食材が多くなると食事に偏りができ、栄養素の不足が懸念されることがありますが、マクロビオティックの食生活で不足しがちなのは、タンパク質とビタミンB12と考えられます。そのため足りない栄養素を意識し、毎食のごはんにも工夫して補完していくことが必要となります。
肉や魚をとらない食事の場合、タンパク質量の低下が心配されますので豆や豆製品で補っていくようにします。対策として食事内容に高野豆腐や厚揚げ、納豆など大豆製品の頻度を増やし、ビーナッツやゴマ、アーモンドなどのナッツ類もドレッシングやソースにして使用するなど食材との組み合わせも工夫していきましょう。
また、レバーや魚介類を食べないことでは、ビタミンB12の不足があげられます。マクロビオティックの食材でビタミンB12を補う食材には海苔が適しており、焼き海苔や青のりを意識してとること、料理の中に海苔を使う工夫をすることもよい方法となります。
ただし、マクロビオティックでは、肉や魚の摂取を禁止しているわけではありません。ルールの中で足りない栄養素を上手に補完していくことは大切ですが、自分の体調や状況に合わせて必要なときには必要なものを食べるようにしても構わないのです。
頑なにルールを守ろうとするよりも自分の体調を冷静に見極め、柔軟に対応していくことも健康維持のコツです。気持ちはゆるやかに楽しいマクロビオティックライフを目指していきましょう。
マクロビオティックの基本「玄米菜食」がもたらす効果まとめ
マクロビオティックの基本である「玄米菜食」、またその効果についても説明してきました。マクロビオティックが玄米を食べるということを中心におく理由や意味、また栄養としてのメリットだけでなく、身体的、精神的、社会的な要素もあるということがよくわかります。
今の食生活から玄米菜食へ移行してみたいという場合は、メリット、デメリットを合わせて学んでみることで不安も解消でき具体的な実践がしやすくなります。
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