マクロビオティックの陰陽調和の意味と調味料の選び方
マクロビオティックには、陰陽調和という基本的な原則があります。食材や料理法をはじめ、あらゆるものには、「陰性」と「陽性」の両面の性質が存在するという考えでその性質がバランスをとり調和ができている状態を中庸と呼びます。
食生活でも中庸であることを目指すことで身体の健康、心の健康を維持することができるとされ、食のガイドラインである陰陽表を基に実践していきます。
ここでは、調理の中でも使用頻度の高い「調味料」についての陰陽区分や選び方について説明していきます。
マクロビの基本ルール
まずは、陰陽調和を学ぶ上でも重要となるマクロビオティックの2大原則「身土不二」「一物全体」という考え方について説明していきましょう。
身土不二(しんどふじ)
意味:暮らす土地の旬のものを食べること
暮らしている土地、生活している場所でとれた食材は、その土地に住む人の身体をつくっている、また季節にあった旬の食材を食べることが身体の状態にあっているという考えからできた思想です。
寒い季節に収穫できる食材には身体を温める作用があり、暖かい季節に収穫できる食材には身体を冷やす作用があるという陰陽の性質にもつながっています。
また、遠くで栽培され収穫された食材を運んでくるにも流通での負荷や保存のための負担がかかります。身土不二の考え方は、農薬や添加物、環境負荷についても軽減できることから社会的なメリットもあるとされています。
一物全体(いちぶつぜんたい)
意味:自然の恵を残さず丸ごといただくこと
例えば、野菜の皮や葉の部分、根っこに至るまで、食材全体をひとつのものと考え、全てを食べることで高い栄養価を得ることができ、また陰陽の調和もとれるという考えからできた思想です。
人参は陽性、ナスは陰性という風に食材ごとに陰陽の区分もありますが、ひとつの食材でも野菜の葉の部分は陰性、根の部分は陽性という性質もあります。食材全体を食べることでその2つの性質をバランスよくとることにもなり、結果的には中庸に近づくと考えます。
また、穀類ならなるべく皮を残した状態、精製をしていない状態が好ましく、玄米が食の中心になっていることもこの原則に基づいています。
その他にも「残さずいただく」ということで感謝の気持ちを養い、精神的な成長を促すというメリットもあるとされています。
マクロビオティックの「陰陽論」
マクロビオティックには、独自の「陰陽論」があります。東洋の神秘的なイメージもある陰陽ですが、マクロビオティックの陰陽論は、提唱者である桜沢如一が日本古来の食養生に易の理論を融合した理論とされています。
食材や調味料をはじめ、調理法、人間性や時事など物事には、すべてに陰の性質と陽の性質があり、双方が引き合い、影響しあうことでバランスをとっていると考えられています。マクロビオティックでは、特に食材区分の陰陽論応用が重要とされ、食生活でのガイドライン「陰陽表」は、食材の陰陽バランスを整理し体系化した基準となる表になります。
例えば、調味料でいうと味噌や塩は陽性の性質が高く、はちみつや砂糖は陰の性質が高いとされていますが、その陰陽性質をうまく利用して料理を中庸(陰陽バランスのよい状態)に変化させることで身体への負担がなくよい影響を及ぼすものとなり、健康的な生活へとつなげていくのがマクロビオティックの食事法になります。
全てのものにある陰陽2つの面、どちらがよいか悪いかではなくバランスを保つことを目的とします。
マクロビで使用する調味料選びのポイント
マクロビオティックを実践するにあたり、最も気を配る必要があるのが食材選びであり、そして食材の中でも使用回数の多い「調味料」の選び方は重要といえます。調味料の選び方は、食生活のベースにもなりますのでしっかりとポイントを学んでいきましょう。
調味料を選ぶときのポイント
・化学調味料など添加物を含まないものを選ぶ
・有機栽培で育てられた無農薬素材を選ぶ
・昔ながらの製法で作られたシンプルなものを選ぶ
・陰陽表に基づきバランスを考えて選ぶ
マクロビオティックでは一物全体という原則に沿い、食材を丸ごと食べることが基本となります。そうすると農薬や添加物などが残りやすい皮の部分も必然的に口にすることになりますので食材の安全性を高めるためにも添加物や農薬の残留についても慎重になる必要がでてきます。
また、無農薬や有機栽培のものを原料とした調味料を選ぶことは、土地の汚染を軽減することにもなり、環境への配慮、貢献にもつながります。
陰陽の分類が整理された陰陽表から適した調味料を選ぶこともできます。陽性の食材を調理するときには、陰性の調味料を使うなど調味料を工夫することでも中庸の状態に近づけることができます。
以下に代表的な調味料の陰陽区分をあげますが、同じ調味料でも素材そのものの場合と精製しているものとでは、性質も変わってきます。原材料や製造方法など様々な要素が影響しあって陰陽の性質が構成されているのです。
代表的な調味料の陰陽区分
・陰性:砂糖、白砂糖、コショウ、ハチミツ、唐辛子、わさび、化学調味料、精製塩
・中庸:白ゴマ塩
・陽性:味噌、梅干し、醤油、自然塩、
マクロビにおすすめの調味料
マクロビオティックの原則、ルールに基づくおすすめの調味料を味覚分類であげてみましょう。
塩分:塩、醤油、味噌
塩は、自然塩を選ぶようにします。精製されていない海水塩や岩塩は、ミネラルが豊富で栄養価も高くなっています。また、その自然塩を使い、原料の大豆なども無農薬や有機栽培にこだわった醤油や味噌が理想的です。
甘み:てんさい糖、黒砂糖、メープルシロップ
マクロビオティックでは、精製された白砂糖を使いません。料理に甘みをつけるときには、てんさい糖や黒砂糖、メープルシロップを利用します。他には、ハチミツや米飴をつかうこともありますが、陰陽の性質や食材との相性を考慮して使用する調味料を選ぶようにしましょう。
その他:酢、みりん、未精製の油、生姜など
酢やみりんも添加物などのない自然な状態に近いものを選びます。油も精製していないものを選ぶことで栄養価が高く味わいも豊かとなり、料理の味も引き立つことになります。生姜も皮ごと食べるので農薬などを使用していない安全なものを選びましょう。
マクロビに不向きな調味料
精製された上白糖、精製塩、甘味料、ワサビ・唐辛子などの香辛料は、不向きな調味料となります。
マクロビオティックでは、基本的に精製された食材や調味料を使いません。
特に白砂糖は避けるべきものとして重要視され、調味料としての使用はもちろん、市販の砂糖菓子や甘いジュースなども避けるべきものとされています。また、ワサビ、唐辛子は、陰性の性質が強いため使用時には食材との組み合わせやバランスに気を配り、適度な量を使うように心がけます。
マクロビオティックの陰陽調和の意味と調味料の選び方まとめ
マクロビオティックの陰陽調和についての意味、そして調味料の選び方について説明してきました。食生活に深く関わる食材である調味料にも陰陽の区分があり、選び方にもポイントがありました。マクロビオティックを実践してみたいと思っている方は、まず調味料から変えていくこともおすすめです。
食材を全部一度に変えることは難しいことかもしれませんが、塩や油など日常的に使うものから変えていくことは負担も少なく、また味覚や体調への変化も感じやすいと思います。食生活を変えていくと少しずつ自分にあった暮らしが見えてくるはずです。焦らずゆっくりとマクロビオティックを学んでみてください。
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