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アスリートにとっての食事の役割や基本的な知識 

アスリートやスポーツ選手にとって毎日の食事は、とても大切です。食事を摂る事で練習時のエネルギー源になり、疲労の回復や基礎体力、筋肉の向上に繋がります。年齢や運動量によっても必要な食事の量や内容が違います。

 

体を動かす上で大きな土台となる食事について栄養や食事量などの面からご説明します。また、アスリートとしての守りたい食習慣や食事の注意点を参考にしてください。食事内容が良い結果に繫がります。

 

アスリートにとって食事の持つ役割

 

運動時のエネルギー源

人間の体は、動くための燃料となる栄養が必須です。アスリートの場合は、活動量が普通の人よりも多いので当然、エネルギーも大量に消費します。その活動量にあったエネルギーを摂取しなければ活動できなくなってしまいます。

 

部活動をしている最中や激しい運動をしている最中にお腹が空き集中力が切れた経験がある方は多いのではないでしょうか。ハードな運動を最後まで集中してやりきるには、十分なエネルギーを摂取する必要があります。

 

基礎体力、筋力の向上

基本的に体は、食べたものから作られています。トレーニングなどで筋肉に負荷をかけると筋組織は損傷を受けます。

 

しかし、十分な休養と栄養を身体に与えることによって回復し、筋損傷は一時的なものになります。休養と栄養を十分に与えられた体は、より強い負荷に耐えられるようなになり、トレーニング前以上の体に成長します。

 

これを超回復と呼びます。休養や栄養が不十分だと筋組織を回復することが出来ず筋肉は衰えていってしまいます。

 

ケガの予防(疲労骨折、関節痛など)

陸上の長距離選手といった持久力が必要な競技は、体に大きな負担がかかることから疲労骨折や関節痛などが発生しやすくなります。

 

また、ラグビーやサッカーなどは、競技者同士の接触が多いので骨折などのリスクが高まります。これらの障害のリスクを出来るだけ抑えるためには、成長期の頃からの適切な栄養の摂取が必要です。

 

成長期に必要なカルシウムの摂取量は、12~14歳の男子で1日1000mgと推奨されています。大人のカルシウム推奨量は1日650からすると成長期に必要なカルシウムの量は、大人の1.5倍ということになります。成長期にこそ、カルシウムをきちんと摂取して丈夫な体作りを目指しましょう。

 

コンディショニング(貧血、免疫力低下など)

適度な運動は、健康な体作りになりますが、競技やプロのアスリートは、ハードかつオーバーなトレーニングにより一般の方々より免役が低下してしまう事があります。

 

長距離走やサッカーの選手、女性アスリートには、スポーツ性貧血と呼ばれる貧血を起こす事が少なくありません。貧血を防ぐためにはバランスの取れた栄養摂取がとても重要です。競技の本番でベストな状態を保てるように試合の前日や当日は、戦略的な食事や水分補給が必要です。

 

マラソン選手が試合前日にとる食事は、エネルギーを蓄えることを中心としたものです。それは、「カーボローディング」と呼ばれ、アスリートの戦略的な食事や水分補給方法の代表的なものです。

 

アスリートの食事の基本形

主食を食べてエネルギー補給をする

ご飯やパン、麺類などの主食は、炭水化物(糖質)の供給源となり運動や体を動かすためのエネルギー源となります。主食が少ないと競技の後半でエネルギー切れになり、疲労の原因になります。

 

糖質は、脳にとって重要なエネルギー源です。糖質不足は、集中力の低下の原因となります。トレーニングによる筋肉疲労の回復には、たんぱく質と糖質の同時摂取が大切です。また、糖質不足になると体力、筋力の低下を招いてしまうのでバランス良く糖質を摂取するよう注意します。

 

副菜を食べてコンディショニング

野菜、いも、豆類、海藻類、きのこなどが主材料となる副菜は、ビタミン、ミネラル、食物繊維の供給源です。ビタミンやミネラルは、免役力のアップや貧血予防、便秘予防など様々なコンディションに関わっておりとても重要な栄養素です。

 

アスリートは、過酷なトレーニングで免役が低下する事が多く、鉄分の消費が激しいので貧血になりやすいため一般の人以上に多く食べる必要があります。副菜のおかずは、主菜以上に食べる必要があります。1食の食事で、副菜は2品入れるのがベストです。

 

主菜を食べて筋肉をつける

肉、魚、大豆製品が主材料となる主菜は、たんぱく質の供給源でとなります。タンパク質の働きは、トレーニングの疲労を回復させる、筋肉を作るといったことです。主菜とされる食材の多くにはビタミンB群が含まれており、脂質や糖質、たんぱく質を体の中で代謝させることでエネルギーに変えます。

 

主菜を毎食きちんと取り入れてたんぱく質を摂取する事が重要です。体の筋肉は、分解と合成を常に繰り返しているのでたんぱく質が不足すると分解ばかりが進んでいきます。

 

きちんと分解と合成を繰り返すために朝食は、ご飯やパンだけで済ませずに卵や納豆、ウィンナーなどのたんぱく質を取り入れます。昼食は、単品料になりがちですが、理肉や魚などを含むようにします。

 

乳製品をとって骨作り

カルシウムの供給源としては、牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品が有効です。カルシウムは、成長期に身長を伸ばすことや怪我を予防するために欠かせない栄養素で強い骨の形成にも重要です。

 

カルシウムは、体に取り込みにくい栄養素です。カルシウムという成分の体への吸収率は野菜や小魚よりも、牛乳や乳製品の方が約2倍高いのです。理由として牛乳には、乳糖やCPP(カゼインホスホペプチド)という成分が含まれており、カルシウムの吸収を高めることが挙げられます。

 

また、牛乳や乳製品には、良質なたんぱく質も含まれているので筋力をつけるためにもアスリートは、積極的に摂取すると良いです。成長期なら、牛乳は毎食取っても良いでしょう。

 

果物を食べてコンディショニング

みかんやバナナ、りんごなどの果物は、糖質やビタミンC、カリウムの供給源です。アスリートは、ハードなトレーニングを行うため大量の酸素を摂取します。そのため、体内の細胞が酸化されやすく障害が起こる可能性があります。この酸化のストレスから体を守る働きをするのが、みかんに含まれるビタミンCやりんごに含まれるポリフェノールです。

 

ビタミンCは、ピーマンやブロッコリー、キャベツなどに多く含まれますが、加熱調理をするとビタミンCは壊れるので調理方法を考えましょう。果物は、生で食べることがほとんどなので効率的にビタミンCを摂取することが出来ます。1日1回は、果物を食べるように心がけましょう。

 

アスリートに必要な食事量

 

競技種目ごとの必要エネルギー量

下記の表は、トレーニング期の種目別エネルギー必要量です。日本人アスリートの基準とされる体型と日本人で報告された摂取エネルギー基準値(kcal.kg)から1日の目標量が算出されています。

 

 

競技種目

目標エネルギー摂取量(kcal日)

男性

女性

陸上競技

2.600~3.300

2.300~2.800

陸上中長距離

マラソン

3.300~4.300

2.200~3.400

陸上投てき

3.500~4.100

2.300~3.300

陸上跳躍

2.400~3.100

1.900~2.500

体操

2.200~2.900

1.900~2.500

サッカー・ホッケー

テニス

3.100~3.700

2.000~2.600

ラグビー・アメフト

4.000~5.000

      ー

自転車

3.900~4.600

2.900~3.400

水泳

3.600~4.600

2.400~3.600

ボート

3.500~4.600

1.900~2.600

野球・ソフトボール

3.400~4.300

2.200~3.400

バスケットボール

2.600~3.600

2.000~3.200

新体操

   ー

1.600~2.200

バレーボール

2.600~3.600

2.00~3.200

ハンドボール

3.400~4.600

   ー

 

ジュニアアスリートの必要エネルギー量(成長期の場合は体の成長に必要なエネルギー量も考慮)

ジュニアアスリートは、他の人よりも少し多めに摂取するつもりで良いです。性別や年齢、活動量や運動量ごとに1日に必要なエネルギーの摂取量を定めた基準が「推定エネルギー必要量」です。

 

成長期の子供には、消費エネルギーだけでなく体に必要とされるエネルギー量も含めて推定エネルギーとされています。

 

身体活動レベル

身体活動レベルとは、個人が日々の生活でどのくらいの活動量、運動量なのかを表したものです。1日に消費された総合されたエネルギーが個人の基礎代謝の何倍になるかを値します。例えば仕事中は座る姿勢が基本でも、通勤や買い物などの移動や家事などの立ち仕事、軽い運動のどれかを日常的に行う方は身体活動レベル2を参考にしてください。基本的に立ち仕事や移動が多い方、日常的に運動を行っているなど動く時間が多い方は身体活動レベル3を参考にご覧ください。

 

週に1~3回のトレーニングをしている方はレベル2を参考にし、週に3~7回のトレーニングをしている方はレベル3を参考にしてください。

 

推定エネルギー必要量とは(性別、年齢、活動量ごとに1日に必要なエネルギー摂取量を定めた基準)

  年齢

   男性

   女性

身体活動レベル

身体活動レベル

  2

   3

   2

   3

6~7歳

1.550

1.750

1.450

1.650

8~9歳

1.800

2.050

1.700

1.900

10~11歳

2.250

2.500

2.000

2.250

12~14歳

2.500

2.750

2.250

2.250

15~17歳

2.750

3.100

2.250

2.500

18~29歳

2.650

3.000

1.950

2.250

30~49歳

2.650

3.050

2.000

2.300

50~69歳

2.450

2.800

1.900

2.200

70歳以上

2.200

2.500

1.750

2.000

 

具体的な食事量は食事バランスガイドの量を参考に

アスリートの食事の基本は、エネルギー補給です。以下は、一般の大人が摂取する目安量の表です。アスリートの方は、更に炭水化物を増やすなどしても良いでしょう。

 

食べる量の目安は、個数で数えます。主食は1つ、副菜は2つなどです。これらをグループに分けて数えてください。どれかをたくさん食べるためにどれかを減らすという事は、出来ません。全てバランス良く摂取しましょう。

 

主食

5~7つ

ご飯.パン.麺.パスタ

数え方はおにぎり1個、ごはん1杯(小盛)、食パン1つです。ごはん1杯(普通盛)は1.5つ、麺類は1人前で2つと数えます。

副菜

5~6つ

野菜.きのこ.いも.

海藻料理

小鉢や小皿に入った野菜料理1杯分が1つです。中皿や中鉢に入ったものは2つくらいです。

主菜

3~5つ

肉.魚.卵.大豆料理

卵1つの料理、納豆1パック、豆腐1/3が1つです。肉料理1人前は3つ位です。魚1尾、刺身は2つです。

牛乳.乳製品

2つ

ヨーグルト1パック、プロセスチーズ1枚が1つです。牛乳200mlで2つです。

果物

2つ

みかんやバナナなどの小さい果物は1個で1つです。りんごなどは1個で2つです。

 

アスリートとして守りたい食習慣

 

欠食をしない

アスリートは、一般の方に比べて多くの栄養素量とエネルギー量が必要となります。アスリートが欠食をするとその分栄養素量が不足する可能性があります。トレーニングや集中力に支障をきたすリスクが高まります。

 

好き嫌いをしない

嫌いな物や食べられない物が多いと料理やメニューの選択肢が少なくなり、栄養量が不足する可能性があります。アレルギー食品以外の物は、色々な食品を食べるようにしましょう。

 

主食、主菜、副菜、乳製品、果物が全て揃った食事をとる

食事の際は、主食、主菜、副菜、乳製品、果物が全てバランス良く揃った食事を摂りましょう。主食は、食事の中でも重要なエネルギー源ですが、体にはバランス良く揃った栄養素が必要不可欠です。

 

トレーニングスケジュールに合わせて食事時間と内容を考える

トレーニングなどのスケジュールに合わせて食事の時間と内容を考えることは大切です。必要なエネルギー量は運動量や年齢により異なります。食事は、必要なエネルギー量を見極めて用意することが重要です。

 

アスリートの食事の注意点

 

休日の食事量を減らす場合、減らさない場合

シーズン中の1~2日の休日であれば、食事の量は普段と同じ量を食べるようにします。トレーニング中の休日には、疲労の回復や筋肉の超回復が行われているのでこの時に栄養素量を減らしてしまうのはよくありません。

 

オフシーズンで長期の休日があり運動の強度が落ちる場合には、食事の量を減らします。いつも通りに食べていては、体脂肪がつきやすくなりますので注意が必要です。

 

こまめに体重、体脂肪率を測定する

人によって必要なカロリーは、体格や体質によって異なります。同じ人でもその日によって体調や運動量により違ってきます。自分がとっていた食事が思っていたより高カロリーだったという場合もありますのでこまめに体重や体脂肪率を測定する必要があります。

 

アスリートにとっての食事の役割や基本的な知識まとめ         

 

アスリートにとっての食事の役割とは、運動時のエネルギー源になることです。基礎体力や筋肉の向上に繫がり、怪我の予防や疲労回復が望めます。

 

アスリートの食事の基本は、主食でエネルギーを補給し、副菜や果物でコンディションを整え、乳製品で骨を形成し、主菜で筋肉を作ります。年齢や競技内容、身体活用レベルで必要なエネルギー量や食事の量が違います。

 

アスリートが守るべき食習慣としては、欠食をしない、好き嫌いなくバランスの良い食事を摂る、トレーニングやシーズンに合わせて食事内容や量を考えることとなります。

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