競技別や目的別の体づくりのための食事とは
同じアスリートでも競技や目的別により体づくりの内容は異なります。体づくりの基本は、トレーニングと同じように食事も大切です。競技別に食事の内容は異なり、注意する点などもそれぞれ違います。競技別や目的別の体づくりのための食事を詳しくご紹介致します。
理想の体型に近づけば、良い結果に繫がる可能性は高くなるはずです。自分の種目に合う食事内容はどういったものなのか、目指す体型にはどのような事に気をつけたら良いのかを参考にして下さい。
健康な体づくりのための食事
たんぱく質の重要性
たんぱく質は筋肉、骨、血液を作る重要な栄養素です。体を作るためのとても大切な役割があり、運動をするなど体を動かすためには欠かせない栄養素です。筋肉は、強い運動によって分解されて材料となるたんぱく質を吸収して合成するというプロセスを経て大きく強くなっていきます。
たんぱく質を適切な量をタイミングよく補給することで筋肉を作るサイクルが働きます。しかし、不足してしまうと筋肉が作られなくなるだけでなく血液や骨にも悪影響を及ぼします。そのため、故障しやすくなりスポーツ貧血の原因になることがあります。
たんぱく質不足で起こる症状(筋肉量の減少、髪や肌のトラブル、集中力思考力の低下など)
たんぱく質が不足すると筋肉量が減る可能性があります。たんぱく質は、筋肉を作る材料なのでカロリーの低い食事や脂肪分の高い食事を取り続けて体内のたんぱく質が不足すると基礎代謝が落ちて太りやすく痩せにくい体になってしまいます。
皮膚組織の大部分を占める材料は、コラーゲンです。コラーゲンは、たんぱく質から構成されているのでたんぱく質不足は髪や肌のトラブルを招きます。たるみやシワの原因となるだけでなく、薄毛や枝毛、切れ毛になる可能性に繫がります。
さらに、たんぱく質が不足すると脳内で神経伝達物質が通常のように作られなくなり脳の働きが鈍くなり集中力や思考力の低下に繫がるのです。
高たんぱく食品(納豆、無脂肪牛乳、ツナなど)
アスリートが重要視する高たんぱく食品は、納豆、牛乳、ツナ、などです。納豆は、植物性たんぱく質、カルシウム、鉄分、ミネラルを含むためたんぱく質強化や貧血予防などに効果があり重要視される食品です。納豆に含まれるビタミンKは、骨の中のたんぱく質を活性化し、新しい骨の形成を手伝います。
必要のない脂肪の吸収を抑えたいアスリートには、無脂肪牛乳がおすすめです。牛乳にはミネラルがたくさん含まれており、ミネラルにはたんぱく質を吸収しやすくさせる働きがあります。そのため、骨を丈夫につくるために重要な成分を体に取り込む事が出来ます。
プロテインを牛乳などに溶かして飲む事やたんぱく質が豊富なツナは増量中のアスリートや体を大きくさせたい選手に活用されています。定番のオイル漬けのツナは、油分をたくさん含んでいますが、水煮のツナはオイル漬けのツナよりは油分が控えめですのでたんぱく質を摂取したい時にはおすすめの食材です。
高たんぱく質の食事を摂るコツ(多くの食材を組み合わせる、赤身の多い部位を選ぶなど)
たんぱく質の食事を上手く摂るコツは、より多くの食材を組み合わせてみましょう。たんぱく質は、様々なアミノ酸の組み合せで形成されています。動物性たんぱく質と植物性たんぱく質を組み合わせて摂取することで補足効果が生まれバランスが良くなります。
動物性たんぱく質の割合が低いと貧血などが起きるため、様々な食材からバランス良くたんぱく質を摂取することが重要です。余計な脂肪分を抑えるために高たんぱく低脂肪の食材を意識しましょう。以下の表は、可食部100gあたりの含有量です。
食材 |
たんぱく質量(g) |
脂質量(g) |
牛もも肉 |
20.7 |
10.7 |
豚もも肉 |
22.1 |
3.6 |
鶏むね肉(皮付き) |
19.5 |
17.2 |
鶏むね肉(皮なし) |
24.4 |
1.9 |
さけ |
22.3 |
4.1 |
かつお |
25.0 |
6.2 |
牛乳 |
3.3 |
3.8 |
豆乳 |
3.6 |
2.0 |
卵(Mサイズ1個40g) |
12.3 |
10.3 |
木綿豆腐(1丁300~350g) |
6.6 |
4.2 |
その他、赤身の多い食材を選ぶようにします。赤身は、たんぱく質を効果的に吸収するミネラルを多く含みます。牛肉ではランプやもも、豚肉はももやヒレ肉に多く含まれます。鶏肉では、皮を取り除いたむね肉は高たんぱく低脂肪の代表的な食材です。魚では、マグロやカツオ、ブリやイワシなどの回遊魚が赤身の魚に分類されます。
余分なカロリーや脂肪摂取を抑えてたんぱく質を摂取したい時は、プロテインを活用すると良いです。主食、主菜、副菜とバランスの取れた食事にプラスして取り入れて下さい。
また、ビタミンB6を含む食材と組み合わせて摂取するとより効果的です。ビタミンB6は、動物性食品の肉や魚、植物性食品のさつまいもやアボカドなどに多く含まれます。たんぱく質の摂取量が増えると必要とされる栄養素が増加するのでたんぱく質の代謝にビタミンB6は必要な栄養素となります。
例えばプロテインを加えて体に取り込むたんぱく質が増量しても代謝を速やかに促します。
競技種類別の体づくりのための食事
瞬発系競技の場合(筋繊維の回復のためにたんぱく質を多めに)
陸上競技や水泳競技、柔道などのパワーと瞬発力が要求されるスポーツは、筋肉に激しい衝撃がかかりやすく、筋繊維がとても痛みやすいです。傷ついた筋繊維は、十分休めることでトレーニングや損傷を受ける前よりも強くなります。
この回復を効果的にするためには、たんぱく質が重要なのです。たんぱく質は肉や魚、卵や大豆製品、牛乳などに多く含まれます。1度にたくさん摂取するのは難しいので1日の3食でバランス良く摂取出来るように心がけましょう。
持久系競技の場合(グリコーゲンの回復のために糖質やビタミンB1を多めに)
陸上長距離、ロードバイク、トライアスロンなど持久力が必要となる競技では、エネルギーの消費量が非常に多くなります。体の疲労は、筋肉の損傷はもちろん体内のエネルギー源であるグリコーゲンが底をつくことも大きな要因です。
長時間の運動を続けて消費されたグリコーゲンの回復には、エネルギーとなる糖質とビタミンB1を多めに摂取しましょう。糖質はご飯やパンなどの主食に多く含まれ、ビタミンB1は肉、魚、野菜などに幅広く含まれています。特に、豚肉や玄米、大豆などにも多く含まれます。持久系競技では貧血が起こりやすいため鉄分やビタミンCも摂取するように注意します。
瞬発力も持久力も両方必要な競技の場合(たんぱく質も糖質もバランスよく)
サッカーをはじめ、バスケットボールやテニスなど多くの球技系競技では瞬発力も持久力も必要とされます。これらの競技では、たんぱく質も糖質もバランス良く取り入れる事が大切です。サッカーやラグビーなどのコンタクトスポーツでは選手同士の接触による怪我のリスクが高いためカルシウムはより意識して摂取しましょう。
目的別の体づくりのための食事
増量したい場合(たんぱく質だけでなく、糖質をしっかり食べて摂取カロリーを増やすなど)
体重の増減は、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスにより決まります。効果的な増量のためには、1日あたり500~1000kcal以上のエネルギーを摂取する必要があります。
筋肉の合成がいちばん活発なのがトレーニング直後ですので出来るだけ早く栄養の補給をするのが理想的です。増量したいからと油っこいものを摂取しすぎるのは控えます。和食中心の食事を心がけ、余計な脂質の摂り過ぎには注意して下さい。
上手く増量するためには、ご飯やパンなどの炭水化物の主食、肉や魚、卵や大豆などのたんぱく質源の主菜、バナナやりんごなどの果物、乳製品をバランス良く増やしていきます。サラダや汁物などの副菜は、エネルギー源にはなりませんが多くの栄養素が含まれているため多めに摂取します。
筋肉を作るためにはたんぱく質の存在が欠かせませんが、糖質もしっかり食べて摂取カロリーを増やしましょう。
また、プロテインは、筋肉を効果的に増やすため増量期におすすめです。食事量を増やすことが前提ですが、運動直後や補食、食事のプラスアルファにプロテインを摂取するとよいでしょう。
減量したい場合(適度なカロリー制限をする、たんぱく質の摂取量は落とさないなど)
減量中であっても朝食や夕食を抜くなどの欠食はすすめられません。アスリートが食事を抜いてしまうとたんぱく質やビタミン、ミネラルなどの必要な栄養素が不足してしまい筋肉量が落ちてしまいコンディションに悪影響を及ぼします。減量中の極端な糖質の制限は、集中力やトレーニング強度の低下、疲労回復の遅れに繫がります。
上手に減量するには、朝食はしっかりと食べましょう。夜遅い食事は、脂肪として蓄積しやすいので寝る3時間前には夕食を済ませます。夕食は軽く済ませる程度でよいでしょう。カロリーの制限を意識して、1日に200~500kcalに抑えるのが望ましいです。減量中であっても通常のトレーニング時と同量のたんぱく質を摂取しましょう。
たんぱく質は、筋肉の分解を抑制するためにとても重要です。減量中の食事においては、極端に脂質や炭水化物を減らすのではなく、両方を少しずつ減らすなどします。低脂肪な食事を意識して野菜や海藻類、きのこ類などは毎食食べるようにします。また、飲酒量の制限や間食の内容などを見直します。
競技別や目的別の体づくりのための食事とはまとめ
たんぱく質は、筋肉、骨、血液を作るために欠かせない栄養素です。たんぱく質が不足してしまうと筋肉量の減少や肌や髪のトラブル、集中力や思考力の低下を招きます。アスリートは、高たんぱく食品である納豆や無脂肪牛乳、ツナなどを積極的に摂取しましょう。
より多くの高たんぱく質を摂取するには、色々な食材を組み合わせる、赤身の多い部分などを選ぶように意識します。
瞬発系競技では、筋繊維の損傷が起こりやすいためたんぱく質を多めに摂取するようにします。持久系競技では、糖質やビタミンB1を多めに摂取して体内のグリコーゲンの回復をします瞬発力、持久力共に必要とされる競技の選手は、たんぱく質も糖質もバランス良く摂取するように意識してください。増量をしたいアスリートは、たんぱく質を十分に摂取しつつ糖質もしっかり摂ってカロリーを増やします。プロテインの使用も効果的です。
減量が目的の場合、適度なカロリー制限をしましょう。たんぱく質はしっかりと摂取し、糖質を控えることや間食の内容を見直すなどします。
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