発酵食品の知識を広げよう!発酵における微生物の働きと種類について
皆さんにとって、発酵食品は日々口にする機会が多いと思います。そんな「発酵」は、微生物の働きによって行われています。
そして、その微生物は、様々種類が存在し1種類ではありません。
そんな微生物がどのように働くのか、そして発酵に関わる微生物では、どんな種類の微生物が存在するのかをご紹介していきます。
発酵食品と微生物
発酵食品において、微生物という存在は必要不可欠です。食材を微生物などの働きにより発酵させる事で生まれる食品が発酵食品と呼ばれています。
ですので、微生物無くしては語れない、作り出すことすら出来ないのがこの「発酵」なのです。
また、発酵食品は食品だけでなく、お酒や飲むヨーグルトなどの飲料もあります。
微生物とは?
ほとんどの方は微生物という言葉は聞いた事があると思います。
微生物とは微小な生物全体の総称です。そして、その殆どが1ミリ以下というとても小さい生物です。
目で見えない微細な生き物
微生物はその殆どが1ミリ以下といわれている事から、肉眼では見えず、顕微鏡を使用しないと見ることのできない生物です。
また、顕微鏡を使用しなくては見えない生物は、全て微生物と呼ばれています。
発酵とは?
発酵とは食材を微生物の力によって身体に有用な生成物を得る。ということです。
また、発酵前と発酵後では見た目はもちろん、その栄養価もぐんと上げてしまうものなのです。
微生物のチカラによって有益な食べ物に生まれ変わらせること
微生物の働きにより、発酵前の食材をより有益な食べ物に生まれ変わらせてくれます。発酵する事で原料に含まれていたタンパク質などを体内では生成する事の出来ないアミノ酸などの栄養へと変えてくれます。
また、ビタミンを多量にしてくれたり、良い事ばかりなのです。
発酵における3種類の微生物
発酵を語る上では代表的な微生物が3種類存在します。
カビ
カビと言っても「麹菌」、「アオカビ」、「かつおぶしカビ」、などの、害のないカビです。
酵母
こちらは発酵には欠かせないものですが、酵母といっても様々で、
ワインを作る際に使用する「ワイン酵母」
ビールを作る際に使用する「ビール酵母」
パンにも使用される「パン酵母」(イースト菌などとも呼ばれています)
などがあります。
細菌
細菌というとウイルスなどの害のある細菌を連想してしまいがちですが、ヨーグルトやチーズには欠かせない「乳酸菌」、また、お酢やナタデココには欠かせない「酢酸菌」も細菌の1つに分類されています。
発酵に欠かせない5つの微生物
発酵に欠かす事の出来ない微生物は次のとおりです。聞いたことのある名前が並んでいるのではないでしょうか。
麹菌、酵母菌、乳酸菌、納豆菌、酢酸菌
この5つの微生物の名前は聞いた事のある方も多いと思います。それぞれの特徴をご紹介していきましょう。
麹菌
麹菌とはお米、大豆、麦などの穀物に微生物を繁殖させたものです。
カビ一種
麹菌は、お米、大豆、麦などの穀物に繁殖するカビの一種なのです。
また、厳しい環境ながらにもよく発酵し、繁殖のスピードが早いのが大きな特徴となります。発酵の段階で、糖やアミノ酸を作り出し、発酵後には、甘味や旨味を存分に引き出してくれるのです。
米を原料とすれば米麹、大豆ならば大豆麹
麹菌と一概に言われていますが、原料によって呼び方も様々です。お米を原料とすれば「米麹」、大豆が原料ならば「豆麹」となるのです。
味噌、醤油などをつくる
麹菌はお味噌やお醤油などを生み出してくれます。どちらも日本食には欠かせない調味料の1つでもあります。
・お味噌…原料は大豆、お米、お塩、麹菌、酵母、乳酸菌です。
・お醤油…原料は大豆、お水、お塩、麹菌です。味噌同様に麹菌の発酵によって作られます。
また、麹菌はでんぷんやタンパク質を分解し、酵素を作ってくれます。
酵母菌
酵母菌とは、生活環の一定期間に栄養体が単細胞性を示している真菌類に分類されています。
発芽や分裂で増殖するのが特徴です。お酒だけではなく、パンなどにも用いられます。
糖をアルコールと炭酸ガスに変える
酵母菌は原料に含まれる糖を分解し、アルコールと炭酸ガスへと変える力があります。
また、原料に酵母菌を加える事で初めて発酵というものが始まっていくので、とても大切な菌です。
アルコールの醸造
元々アルコールを含まない物でも、酵母菌を加え発酵が始まることでアルコールが生まれお酒へと変化していきます。ワインも初めはただのぶどうですよね。
ですが、この酵母菌を加えることによって、このただのぶどうがワインへと生まれ変わっていきます。
パン作りなど
酵母菌はお酒や調味料だけではなく、パン作りにおいても欠かせないものです。イースト菌とも呼ばれています。聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
小麦などで作った生地にこの酵母菌を加える事で、炭酸ガスが発生して空気を含ませる事から生地が膨らみ、ふっくらとしたパンが出来上がるのです。
乳酸菌
乳酸菌は非常に知名度の高い菌の1つなので皆さんご存知ですよね。乳酸菌は、食材のブドウ糖や乳糖を分解し、乳酸を作ります。これが乳酸菌といわれるものです。
動物性乳酸菌、植物性乳酸菌に分けられる
乳酸菌といっても、動物性と植物性があります。
動物性
動物性は、牛やヤギのミルクをエサにします。動物性乳酸菌は植物性乳酸菌と違い、環境が限定されていて、摂取しても腸まで届かずに死んでしまう事が殆どです。
ですが、死滅後に善玉菌となり植物性乳酸菌のエサとなってくれるのが、この動物性乳酸菌の良い所です。
植物性
植物性は野菜や穀物などに含まれる糖分をエサにします。植物性乳酸菌は、厳しい環境でも生き抜く事ができるといわれています。
どちらも効果は違えど、それぞれに役割があるのです。
ビフィズス菌
大腸の善玉菌の殆どが、ビフィズス菌だとされているくらい、ビフィズス菌は大腸で働く事で有名です。基本的には酸素や酸に弱いとされていて、ヨーグルトなどでの繁殖は難しいといわれています。このビフィズス菌は酢酸を作り出す作用があり、殺菌作用が強いのが特徴です。
また、年齢とともに減少していくといわれています。
ヤクルト菌
ヤクルト菌は別名「乳酸菌シロタ株」とも呼ばれていて、生きたまま主に小腸へ届く為、プロバイオティクス効果が高いとされています。酸素があるないに関係なく増殖でき、耐酸性の為、胃酸などにも強くその殆どが生きたまま腸まで届くのが特徴です。
腸内環境を整えてくれるのはもちろん、善玉菌を増やし、悪玉菌を減らしてくれる良い菌です。
チーズ、ヨーグルトなどに含まれる
乳酸菌はチーズやヨーグルトに含まれる事でも有名ですよね。飲むヨーグルトや、ヤクルトなどの乳酸菌飲料も最近では増えてきています。
ですが、チーズには塩分が使われている場合が多くあり、ヨーグルトには加糖のものですと、お砂糖が含まれていますので、注意が必要です。
また、ヨーグルトはホットヨーグルトにする事で、乳酸菌が活発になるのと同時に、冷えたヨーグルトよりも体を冷やさず食べられ、胃腸が活発になる事から効果が実感しやすいとされています。
無糖のヨーグルトに蜂蜜や果物などを入れて食べれば糖分も気にならずに食べやすいですよ。
納豆菌
納豆菌とは納豆を作る際に、加熱した大豆に加え発酵させる菌です。糸を引くのが特徴で、これは納豆菌が麹米に繁殖する事で起きています。
また、大豆に含まれるタンパク質を分解し、アミノ酸を作り出します。糸を引かない納豆もありますが、これは納豆菌を使用しないものです。
枯草菌の一種
ある種の枯草菌が納豆菌だとされていて、土壌や植物に存在します。
また、空気中に飛散しており、常在細菌の1つだとされています。
稲わらにすみ、大豆を納豆に変える
沸かし稲わらを使って煮た大豆を包み作るのが納豆です。沸騰により雑菌が死滅し、枯草菌の一種である納豆菌の芽胞だけが生き残る事で生まれます。
ナットウキナーゼには健康増進効果がある
納豆菌には、ナットウキナーゼという栄養素が含まれています。納豆のネバネバこそが、このナットウキナーゼです。ナットウキナーゼは、血流促進効果が期待でき、代謝アップに繋がりますので、健康やダイエットに向いています。
酢酸菌
酢酸菌とはエタノールを酸化発酵し、酢酸を作る好気性細胞の一種で、耐酸性です。
酢をつくる菌
原料のお酒を原料から作り酢酸を加えるか、アルコールを加えたものに酢酸を加えるかをして作るのですが、この酢酸菌は、アルコールをお酢へと変えてくれる力を持ってます。
穀物酢、米酢、リンゴ酢、ワインビネガーなど
一般的によく使われる代表的なお酢といえば穀物酢ですよね。穀物酢はお米、小麦、コーン、酒粕が原料になっているお酢です。穀物酢と比較して米酢は、原料にお米だけを使用し、醸造し作るお酢です。
ワインなどのアルコール度数が低いものに酢酸が働くと、お酢へと変化していきワインビネガーとなります。
また、リンゴ酢なんかは、りんごの果汁に酵母を加えてりんご酒をまず作り、その後酢酸を加え発酵させる事でりんご酒から、リンゴ酢へと変わります。
お酢にはクエン酸などが含まれており、疲労回復、美肌、代謝アップなどの効果が期待できますよ。
発酵食品の知識を広げよう!発酵における微生物の働きと種類についてのまとめ
発酵における微生物の働きと種類について知っていただけましたでしょうか。微生物といっても、たくさんの種類が存在し、その種類によって働き方が違います。
麹酵素や酢酸菌が栄養素が高く健康、ダイエットなどに効果が高いので注目されています。ここでの知識と合わせて、ぜひ発酵食品を取り入れてみてください。
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