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薬膳に使われやすい食材とは

薬膳(やくぜん)とは、中医学理論(中国伝統医学)にもとづいて考案された、食材と中薬(生薬ともいう)と組合せた料理です。栄養、効果、色、香り、味、形など、すべてのバランスが揃った食養生の方法です。
食養生とは、病気の予防と治療、健康保持、体質改善などを目的としており、その人の体質や体調に応じて、栄養を考えた食事になるよう調整します。
生活習慣病の予防が盛んに呼びかけられる現代。健康と食事の関係、そしてその重要性が紹介される機会が増え、健康診断などでも食事指導を受ける機会が増えてきています。食事指導で受ける健康的な食事にプラスアルファをして薬膳の知識を持つことで、より健康的な体作りをするための料理を作って食べることができます。
薬膳は、中国伝統医学と漢方医学を組み合わせた料理であり、「未病」と呼ばれる病気ではないけど体調がすぐれない状態を改善し、病気に繋がることを防ぐことを目的とした料理です。
薬膳効果を目的とした料理を作り食べるためには、さまざまある食材の栄養やその効果を理解し、そして組み合わせを考えることが大切になってきます。そこで今回は、薬膳にはどのような食材が使われるのか、具体的に使われやすい食材についてご紹介します。

目次

薬膳に使われる食材

1-1季節に応じた食材や中薬などを用いる

薬膳に使われる食材はとても多く、普段よく見かける食材がほとんどです。中薬とは生薬とも言われるもので、生薬を大まかに分類すると、上薬、中薬、下薬と三つに分けることができます。薬膳では、この中の中薬に該当するものを用いて調理します。
生薬の上薬、中薬、下薬は、さらに細かく分類することができ、処方薬となっているものも沢山あります。簡単に説明すると、上薬は命を養う薬とされ、生薬そのものに強力な作用は持っていないものの、全体の作用を調節し他の薬の副作用を軽減する目的で配合されるものとなっています。
中薬は体質を改善する薬とされ、大量に摂取すると副作用が出ますが、正しく使用すれば穏やかな作用で新陳代謝を上げ病気を水際で食い止めるとしています。また、上薬の効果を底上げする作用もあるとしています。下薬とは、実際に病気を治療する効果の中心となるもので、強い効果を持つ反面、毒性が強いことから摂取する量や期間に注意が必要とされています。
生薬にある上薬、中薬、下薬を組み合わせたものが漢方薬として実際に使われるものとなり、生薬の一つのみをそのまま使うことはほとんどありません。薬膳も同様で、さまざまな食材と中薬に当てはまるものを組み合わせることで、その効果がよりよいものになるようにしていきます。
薬膳に使われることの多い中薬を具体的に紹介すると、“海松子(かいしょうし):松の実”、“金針菜(きんしんさい):ユリ科のホンカンゾウの花のつぼみ”、“銀耳(ぎんじ):白木耳(しろきくらげ)”、“枸杞子(くこし):一般にクコの実と呼ばれ、ナス科植物のクコまたはナカバクコの果実を干したもの”、“紅花(こうか、べにばな)”、“山査子(さんざし):バラ科のサンザシの実”、“大棗(たいそう):クロウメモドキ科サネブトナツメの実”、“蜂花粉”、“百合(びゃくごう):ユリの根”、“竜眼肉(りゅうがんにく):ムクロジ科リュウガンの仮種皮”、“甘草(かんぞう):マメ科のカンゾウの根”などが挙げられます。これらの中薬は、効能別に分類することができますので、薬膳効果をより期待したい場合は、分類の詳細を勉強するとよいでしょう。

1-2薬膳の基本をベースに乾物、野菜・果物、魚・肉などさまざまな食材を使う

漢方薬は、生薬である上薬・中薬・下薬を二種類以上混ぜ合わせて、その効果を発揮させることができます。薬膳も漢方薬の考えにもとづいていますので、中薬のみを単体で用いても効果が得られません。
そこで、薬膳効果を引き出すために、中薬と合わせてさまざまな食材を一緒に調理する必要があります。普段よく見かける食材には、どれも体に必要な栄養素が含まれています。
その食材のバランスを考え、食べられるよう調理していくことがポイントとなります。食材は、「熱温性」「平性」「寒涼性」と分けて考えられますが、食材同士で働きを調整し合うため、偏らないようバランスよく組み合わせ、食べることが大切であり、このバランスがよく組み合わさり食べられることで、薬膳効果を引き出すことができます。

薬膳料理で使われやすい乾物食材

2-1胃腸の調子を整える「ナツメ」

薬膳でよく使われる食材に乾物があります。乾物は薬膳料理を作るのに欠かせない食材の一つになっています。スーパーなどで身近に購入することができますので、薬膳料理を作るに当たっては十分活用してもらいたい食材です。
その乾物の中で、薬膳の食材にしてもらいたいのが「ナツメ」です。ナツメはドライフルーツの一つとして知られています。市販されているものの多くは乾燥されたドライフルーツとなっていますが、国産品で生の状態でも入手できます。酸味が強いため生のまま食べることはあまりお勧めされない傾向があります。
「ナツメ」は漢方や薬膳に使用するに当たり重要な役割を果たす果物と考えられており、医師が処方する漢方薬にも配合されているものとなります。「ナツメ」の効果効能として期待されるのが、胃腸の働きを高め整えることで、食欲不振や倦怠感を解消する効果や、血液を促進し、精神安定作用、生理痛緩和、更年期障害による体調不良の緩和などがあります。

2-2疲労回復や便秘を改善する「くるみ」

クルミは生薬として“胡桃仁(コウトウニン)”という名前で呼ばれ、漢方薬にも配合されています。クルミには、脳の活動を活発にし、アンチエイジング効果が期待されると考えられています。また、免疫力を高める効果もあり、疲労回復、腰痛、便秘、咳の改善にも効果が期待されるとしています。

2-3血中のコレステロールを排出させる「黒ごま」など

「黒ごま」も「クルミ」同様に、アンチエイジング効果が期待されるとしています。更年期障害や加齢による耳の不具合の改善、乾燥による皮膚や髪のトラブルの改善、滋養強壮効果などがあると考えられています。さまざまな料理にアクセントとしても使えるので、薬膳料理を作るに当たっては積極的に利用したい食材となっています。

薬膳料理で使われやすい野菜や果物

3-1腸内環境を整える「ごぼう」

「ごぼう」は食物繊維が豊富なことで知られていると思います。食物繊維が豊富であり、腸内環境を整え、便秘を解消させる効果があると考えられています。また、熱を冷まし、のどの腫れや痛みにも効果があるとされています。ちなみに「ごぼう」の種は生薬とされており、“牛蒡子(ごぼうし)”と呼ばれ、解熱、解毒作用があると考えられています。

3-2眼精疲労や食欲不振の「にんじん」

「にんじん」には胃腸の働きを強め、消化を促進させる作用があると考えられています。消化不良や食欲不振を解消させ、下痢や便秘を改善させる効果が期待されます。また、視力低下など目のトラブルにも効果があるとされています。

3-3胃腸の働きを整える「かぼちゃ」など

夏野菜の中では珍しく、体を温める「温熱性」の食材である「かぼちゃ」です。体を温める効果があるので、胃腸の働きを促進させ、消化吸収を助ける効果があると考えられています。また、疲労回復効果もあるとされています。

スーパーの食材でも中薬になる

4-1生姜は乾燥するなどの処置で“生姜(しょうきょう)”という中薬に

生姜は体を温める「温熱性」の食材です。お腹を温めて胃腸の調子を整え、食欲を増進させる効果があると考えられています。そのため、風邪のかかり始めや、冷え性の改善にも効果があるとされています。また、生姜は乾燥させることで“生姜(しょうきょう)”という生薬にもなります。“生姜”には、吐き気、しゃっくりの改善などの効果効能があると考えられています。

薬膳に使われやすい食材のまとめ

食材には「温熱性」「平性」「寒涼性」という三つの効果で大きく分けることができますが、食材同士でお互いの働きを補う効果があるため、バランスよく、季節の食材と取り入れていくとよいとされています。それにプラスして、中薬となるものを用いるとよいでしょう。乾物には中薬となるものが多く、薬膳料理を作るに当たって重要な役割をはたしています。

健康食・食育の資格

薬膳調整師®資格認定試験
薬膳の基礎知識、薬膳に対する一定以上の理解、漢方的な観点から見た各種食材の効能などの知識を有する人に対し与えられる資格です。
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漢方コーディネーター®資格認定試験
漢方・漢方薬に対する基本的な知識、漢方独自の診断方法や養生などへの理解が一定以上あると認められた人に対して認定される資格です。
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食育健康アドバイザー®資格認定試験
食育健康アドバイザーとして、食育の基本的な知識を有していることを認定されます。
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子どもの成長に合わせて栄養バランスを考えた献立を作ることができる知識や離乳食から幼児食に変える時期、幼児食に向く食材・不向きな食材など幼児食に関する知識を有する人に対し与えられる資格です。
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スーパーフードアドバイザーはスーパーフードが具体的にはどのような食品や種類があるのか把握し、それぞれの食品がどのような健康効果や美容効果があるのかを理解された方に認定される資格です。
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