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薬膳の効果・効能は

薬膳(やくぜん)とは、中医学理論(中国伝統医学)に基づいて考案された、食材と中薬(生薬とも言う)と組合せた料理です。栄養、効果、色、香り、味、形など、すべてのバランスが揃った食養生の方法です。食養生とは、病気の予防と治療・健康保持・体質改善などを目的としており、その人の体質や体調に応じて、栄養を考えた食事になるように調整します。
現代の医療現場でも、疾患により食事療法が取り入れられていますが、この食事療法は西洋医学に基づいて行われるものであり、薬膳の考え方とは異なります。薬膳は、中国伝統医学と漢方医学を組み合わせた料理であり、「未病」と呼ばれる病気ではないけれど体調がすぐれない状態を改善し、病気に繋がることを防ぐことを目的とした料理のことと捉えるとよいでしょう。
薬膳の効果は「未病」の状態を改善するだけでなく、その他の効果も期待できる可能性があります。普段よく見かける食材から作ることができるため、薬膳料理は近年における健康志向の面から、人気が高まってきています。今回は薬膳の効果・効能についてお話していきます。

目次

薬膳の効果・効能とは?

1-1基本は体調不良を防ぐこと

薬膳の目的と基本は、食事により体調を整え、健康を保持し、体調不良に陥ることを防ぐことにあります。「未病」と呼ばれる状態は、“なんとなく体調がすぐれないけど病気とは言えないかな”という自覚症状がある状態のことを指し、西洋医学では検査をしても異常が見られず、診断がつかない状態です。東洋医学では、この「未病」の状態を“何らかの病気になるサイン”と考え、病気に繋がるのを防ぐための治療方法が考えられています。薬膳はその一つと言えるでしょう。

1-2薬膳で解消できると期待できる症状

薬膳で解消することができると期待される自覚症状には、“生活習慣病による数ある体調不良の自覚症状”、“冷え性”、“疲れてなんとなく体調がすぐれない時”、“むくみ”、“肌荒れ”、“便秘”などが当てはまると考えられています。これらの症状は「未病」の状態でよく見られる症状と考えてもよいでしょう。
また、美容の面において大きな障害となる症状であると言えます。そのため、薬膳には美容効果が得られることに大きな期待を持つことができます。他には、疲れてなんとなく体調がすぐれない時に薬膳料理を食べることによって“滋養強壮”効果が得られる期待があり、体力回復と活力を得られ、風邪などの病気を防ぐ効果も期待できます。
注意したい点として、もし数ある生活習慣病の中で確定診断がついていて治療を受けている疾患を持っている場合、内服している薬と食べ合わせては効果的な薬剤効果が得られないとされる食材がある場合があることです。そのような場合に薬膳を始める時には、医師、薬剤師と十分相談して、食べ合わせてはいけない食材を確認しましょう。
生活習慣病の中で、確定診断を受けやすい疾患として、糖尿病、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症などがあります。このような診断がついていて、薬剤による保存的治療を行っている場合は、とくに食べ合わせに注意しなくてはならない薬剤が処方されている場合があるため注意が必要です。その注意しなくてはならない食材さえ押さえておけば、薬膳は生活習慣病の症状を軽快させる効果が大いに期待できます。
生活習慣病に患ってしまった場合、必ずと言っていいほど医師から食事指導がされます。一日に摂取して良いカロリー、塩分、脂質などを細やかに説明してくれますので、それに合わせた薬膳料理を調理して、食養生をしていくとより効果的なのではないでしょうか。

薬膳の「温熱性」「平性」「寒涼性」

2-1薬膳で使われる食材は大きく三つに分けられる

薬膳で使われる食材は、上記でも紹介した中国伝統医学、漢方医学の考えを基に食材選びをしていきます。その中で、「医食同源(いしょくどうげん)における五行の考え」というものを取り入れていきます。
この「医食同源」という考えは、日頃からバランスの取れたおいしい料理を食べることで病気を予防し、治療していきましょうという考え方になります。雑学になりますが、この「医食同源」という言葉は日本で造語された言葉であり、中国伝統医学や漢方医学では登場しません。「医食同源」の考え方は中国の薬食同源思想を基にしています。
医食同源の考えの元、食材を細かく分けると「熱、温、涼、寒」となります。この判断方法は、食べた人がその体内で感じた「熱、温」「涼、寒」で食材を分類するとしています。そのどちらも属さない食材は「平」と表します。これらは四気(五気)とも表されますが、これらを大きく分けると、「温熱性」「寒涼性」「平性」とも表すことができます。

2-2体を温める「温熱性」は血行促進や冷え性改善

「温熱性」の食材は、文字通り体を温める効果を持っています。食べた人の体内が熱や温かいと感じた食材が「温熱性」に当たります。一般的に「温熱性」と呼ばれる食材の特徴として、成長が遅い、水分が少ない、小さい、硬い食材が多いとされています。
主な食材で「温熱性」に該当するのが、カボチャ、栗、クルミ、ニンニク、ニラ、葱、玉ネギ、ラッキョウ、山椒、胡椒、唐辛子、からし、しょうが、シソ、パセリ、人参、春菊、ふき、山菜、ウナギ、ナマコ、マグロ、鯛、蜂蜜、カキ、牛肉、羊肉、鶏肉、餅、味噌、酒、ビール、酢などといったものが挙げられます。
これらの食材は体を温め、血行が促進されるため、代謝も促進し老廃物の排出が盛んになることから、冷え性やむくみの改善が期待されます。一方でこれら食材を大量に摂取しすぎると体への負担が大きくなるため体調不良を引き起こす原因になってしまう場合があります。

2-3温熱や寒涼などに影響を与えない「平性」は吸収率や薬膳効果を高める

「熱、温」「涼、寒」のどちらにも属さない食材は「平性」と呼ばれます。この食材のよい点は、栄養の吸収を助けることから薬膳効果を高める点と、刺激も少ないため病み上がりの状態でも食べられるという点です。「平性」に該当する主な食材は、レモン、大根、納豆、玄米、ジャガイモ、大豆、サンマ、里芋、鶏卵、クズ、ハトムギ、キャベツ、トウモロコシなどといったものが挙げられます。

2-4熱を体外へ逃がす「寒涼性」は血圧の上昇を抑える

「寒涼性」の食材は、食べることで体が「寒、涼」という、冷たいような感じを与えるものがそれに当たります。熱を冷ます効果が期待できますので、炎症を起こしているようなときは、その改善が期待されます。一般的に、成長が早く大きい、水分を多く含む・柔らかいといった食材が「寒涼性」の特徴とされています。
水分が多く含まれていることから、腎機能を促進させ、利尿効果を促す効果が期待されます。利尿効果、消炎効果が期待されるということは、この食材により体内の水分を整えることができるという期待があり、血圧の上昇を抑える効果も期待できます。
主な食材で「寒涼性」に該当するのが、ナス、トマト、キュウリ、セロリ、ゴボウ、ホウレン草、柿、キウイフルーツ、バナナ、ビワ、豚肉、レモン、ミカン、梨、リンゴ、スイカ、パイナップル、柚子、アスパラガス、チシャ、ツルレイシ、カブ、モヤシ、トウガン、そば、緑豆、アサリ、シジミ、アワビ、ハマグリ、ウニ、タコ、カニ、牛乳、醤油、塩、味噌、豆腐、小麦、キンカン、夏ミカン、ポンカン、いよかん、イチゴ、ザボン、干し柿、メロン、マンゴー、サトウキビ、マクワウリ、ヨウサイ、ナズナ、クワイ、たけのこ、ユリネ、レンコン、マッシュルーム、小豆、おから、白身、ワカメ、テングサ、海苔、コンブ、ひじき、イワシ、タニシ、蜂蜜、緑茶(日本茶)、ジャスミン茶、ウーロン茶、胡麻油、サフラン、アロエ、ハッカ、ドクダミ、粟、ツルムラサキなどといったものが挙げられます。

手軽に効果を感じられる薬膳スープ

3-1目的や体の調子にあわせて多種多様な効果を得られる

薬膳料理と本格的に行うとなると、とても難しく感じてしまいますね。そこで手軽に調理でき、薬膳効果を得られやすい調理方法としてスープや鍋料理にするというものがあります。紹介されているレシピはとても多く、ちょっとした工夫で薬膳料理にすることができます。例えば、冷え性には生姜とネギのスープは冷え性に効果が期待できますし、黒ゴマやホウレンソウのスープは貧血に効果が期待できます。

薬膳の効果・効能は まとめ

薬膳の効果には、その料理の元となる「温熱性」「平性」「寒涼性」の食材を組み合わせ、調理することで、現在ある症状改善に向けて様々な効果が得られる期待が持てます。身近な食材で薬膳を作ることができるので、自身の体調に合わせて食材を選び、効果を期待して調理することが薬膳入門の第一歩となるでしょう。

健康食・食育の資格

薬膳調整師®資格認定試験
薬膳の基礎知識、薬膳に対する一定以上の理解、漢方的な観点から見た各種食材の効能などの知識を有する人に対し与えられる資格です。
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漢方コーディネーター®資格認定試験
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食育健康アドバイザー®資格認定試験
食育健康アドバイザーとして、食育の基本的な知識を有していることを認定されます。
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子どもの成長に合わせて栄養バランスを考えた献立を作ることができる知識や離乳食から幼児食に変える時期、幼児食に向く食材・不向きな食材など幼児食に関する知識を有する人に対し与えられる資格です。
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