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シャトーとは?ドメーヌとの違いについて~ワインの生産地と歴史

ワインを選ぶときに、赤ワイン、白ワインといった種類の他に、エチケットと呼ばれるラベルでも選びます。ワインのエチケット(ラベル)には、必ずワインの銘柄があります。そこには「Chateau」(シャトー)や「Domaine」(ドメーヌ)の文字があります。

 

しかし、ここにあるシャトーやドメーヌという言葉は一体どういう意味でしょうか。シャトーやドメーヌという言葉があるワインとないワインでは、どう違うのでしょうか。

 

今回は、シャトー、ドメーヌとの意味とその違いについてご紹介しましょう。

 

シャトーとは?

 

シャトーとは、フランス語圏でよく使われる王族や貴族が持つ、田舎の住居や館のことを言います。シャトーは、田舎つまり田園に作られた、楽しみのための邸宅のことを言います。

 

そして、ワインではまた少し違う意味の使い方をします。それでは、ワインでいう「シャトー」とは、いったい何を意味しているのでしょうか。

 

シャトー(Chateau)

ワインで言うシャトーは、ボルドー地方のメドック地区で与えられる格付けのことを表します。

「シャトー」というのは、ぶどう畑を所有し、ぶどうの栽培・醸造・熟成・瓶詰まで全てを自分たちで行う農園や生産者のことを意味しています。

 

フランス語でお城・館を意味する

フランス語でいうシャトーは、王族の館の他に、かつて領土を守るための、諸侯による要塞に守られた場所を示していました。

 

フランスでは、都市にある貴族の館を宮殿「パレス」と呼び、田舎の邸宅を「シャトー」と呼びました。

 

よくイギリスの貴族が使う、タウン・ハウスが「パレス」で、カントリー・ハウスが「シャトー」ということですね。

 

生産者を表す

フランスでは、18世紀にはぶどう畑の主が自分の畑で採れたぶどうでワインを作り、シャトー同士がワインの品質を競い合うようになりました。1855年頃には、60を超えるシャトーのワインが1級から5級まで格付けされるようになります。

 

ボルドーのメドック地区の農園で生産されるものを「シャトー」と言い、今では世界中のワイン愛好家たちからも愛される、最も有名なワインとなっています。

 

多くの農家が競い合う中で、世界に誇る高級ワインが生産されるようになりました。

 

略表記は「CH」

シャトーで作られたワインが、すべてシャトーと呼ばれるわけではありません。最も高い品質のワインをファーストワインと言い、シャトーの名がつけられます。シャトーはスペルが「Chateau」のため、シャトーの略表記を「CH」と書きます。

 

シャトーがつくワインとは?

 

ボルドーで生産されるシャトーのワイン全てに「シャトー」の名前がつくわけではありません。

 

最も品質の高いワインにシャトーがつけられる

生産者が作ったワインの中で、最も品質が高いワインに「シャトー」の名がつけられます。

 

ファーストラベルのもの

最も品質が高いワインに「シャトー」の名を付けて、農園の代表的なワインとして売り出します。

そのワインをファーストラベルのワインといい、それ以外のワインをセカンドラベルのワインと言います。

 

セカンドラベル以降にはほぼシャトーがつかない

セカンドラベル以降のワインには「シャトー」を付けることはありませんが、決して粗悪品というわけではありません。ファーストに比べると至らないというだけで、味や香りはしっかりとそのシャトーの力が反映されたワインです。

 

しかし、ラベルには「シャトー」がつけられません。

 

シャトーとドメーヌの違い

 

シャトーは、ボルドー地方のメドック地区で生産されるワインにつけられる名前です。そして、フランスにはボルドーに並ぶ、ワインの名産地がたくさんあります。

 

その中でもブルゴーニュ地方で作られるワインを「ドメーヌ」と言います。ドメーヌは、英語のドメインと同じ語源で、フランス語では区画・領域・領地などを表すことばになります。

 

ワインでは、ブルゴーニュやローヌなどボルドー以外の地方のぶどう畑において、そのなかの生産者の一人が所有している農園をドメーヌと言います。

 

ドメーヌもシャトー同様に畑を所有・栽培・醸造・熟成・瓶詰を行う生産者のこと

ブルゴーニュ地方の「ドメーヌ」は、ボルドーの「シャトー」と同じ意味を表します。ドメーヌは、ブルゴーニュ地方のワインにつけられた名前です。

 

ボルドーの生産者が、王族や貴族といった領主であるのに対して、ブルゴーニュ地方の生産者は、農場主や地主でした。ドメーヌの生産者は、無骨で律儀な職人といった感じの人が多いと言われています。

 

シャトーが数10ヘクタール(10万平方メートル)の畑を持つ大規模な農園に対して、ドメーヌは1ヘクタール(1万平方メートル)程度の畑しか持たない小規模な農園になります。

 

シャトー…ボルドー地方、広大な畑をもつ

シャトーは、その名前の通り「城」「館」といった規則や王族を表しています。ボルドーのワイン農園の領主は、広大な畑を持つ経営者ばかりで、気位が高い紳士が多いと言われています。

 

ドメーヌ…ブルゴーニュ地方、規模や敷地が小さめ、家族経営が多い

ドメーヌはブルゴーニュ地方のワイン農家が作るワインにつけられる名前です。経営者は地主や農場主ばかりです。1ヘクタール(1万平方メートル)程度の小さな畑で育てられたぶどうから作られたワインをドメーヌと呼び、家族経営が多く、シャトーのようなランクの格付けもありません。

 

ボルドーとドメーヌでは、土地の面積が10倍も違うため、その規模も大きく違います。

 

ネゴシアンとは?

フランスでは、お酒の流通にかかわる卸業者や卸売商のことを「ネゴシアン」と言います。ネゴシアンは、自身のぶどう園を持っていません。様々なぶどうの果実や果汁、樽詰めワインなど生産者から仕入れます。

 

ネゴシアンは、自らブレンドしたワインを、国内市場で販売したり、海外へ輸出したりしています。

 

しかし、近年は、ネゴシアンの意味合いが曖昧になっています。大きなぶどう畑所有者がネゴシアンの仕事を行ったり、ネゴシアンが自分の畑を持ったりしていることが増えてきたためです。

 

ドメーヌからぶどうやワインを買い付けて熟成や瓶詰めをおこなう生産者のこと

ネゴシアンは、ブルゴーニュ地方やローヌ地方で生産されたぶどうの果実や果汁・ワインを買い付けます。それを自社でオリジナルのブレンドをして、熟成や瓶詰を行う生産者のことです。

 

オリジナルと言っても、ブドウは多種が混ざりますので、ボルドーやドメーヌとは違ってきます。

 

グラン・クリュの違い

ワインで使われる「グラン・クリュ」は、地域によって使い方が違います。

 

「クリュ」は特定のワインをつくるぶどう畑、その畑で収穫したぶどうから造られたワインを意味しています。

 

「グラン・クリュ」とは、最高峰のワインの畑やその畑で収穫されたぶどうを使ったワインになります。

1855年パリ万博の時に、世界の客人に向けてボルドーの60以上のワインに格付けをするために作られたのが「グラン・クリュ(1級から5級)」です。

 

この時、ランク付けられたワインは、シャトー・オー・ブリオン以外は、すべてメドック地区のワインでした。そこで、ボルドー地方のメドック地区のワインを「シャトー」と呼ぶようになりました。

 

また、ボルドー地方の高級ワインだけでなく、ブルゴーニュ地方のワインなど、最高峰のワインを「グラン・クリュ」と呼ばれます。

 

五大シャトー

 

ボルドー地方のメドック地区のワインを、シャトーと呼びます。それでは、その中でもトップと呼ばれる五大シャトーをご紹介しましょう。

 

第一級の称号を与えられた世界トップクラスのシャトー

世界でも、最高峰と言われるボルドー地方のメドック地区にあるシャトーのワインを五大シャトーと呼びます。

 

シャトー・ラフィット・ロスシルド

「シャトー・ラフィット・ロスシルド」または「シャトー・ラフィット・ロートシルト」と呼ばれます。「ロートシルト」の名は英名で「ロスチャイルド」つまり、ヨーロッパの貴族として世界で名高いロスチャイルド家のワインです。

 

17世紀に人気ワインの名前でも有名は「カロン・セギュール」のセギュール家がシャトー・ラフィットの所有者となりました。その後、セギュール侯爵のシャトーは、18世紀半ばに娘4人に引き継ぎます。

 

しかし、ラフィットを受け継いだ娘の1人が大きな借金を抱えてしまい人手に渡ります。

 

オランダ商人のヴィンテーンベルグ家が引き継いだ後、パリ万博で第1級の格付けの筆頭となり、最高峰のワインとなります。ロスチャイルド家が競売にかけられていたラフィットを競り落とし、今は「シャトー・ラフィット・ロスシルド」と呼ばれています。1868年頃のことです。

 

シャトー・ラフィット・ロスシルドは、これ以上はないような素晴らしい芳香と繊細さとやわらかさを持つ、カベルネ・ソーヴィニヨンを主とした最高峰の赤ワインです。

 

「シャトー・ラフィット・ロスシルド」のオールドヴィンテージと同じように、最近のヴィンテージでも最上の味わいを経験することができます。

 

シャトー・マルゴー

メドック地区マルゴー村で作られる、世界で最も高い評価を受けている赤ワインの1つです。

シャトー・マルゴーは数あるフランスワインの中でも「グラン・ヴァン」「ワインの女王」と呼ばれる最高峰のワインです。

 

華やかで芳醇な香り、しなやかなタンニンとの絶妙なバランス、圧倒的なエレガンスを生み出すふくよかな味わい、と女性的なイメージの言葉で例えられています。そのため、「ワインの女王」と呼ばれています。

 

日本でも数々のメディアで紹介され、人気のワインです。

 

シャトー・マルゴーは様々な人の手を渡ります。1976年ギリシャ人の富豪アンドレ・メンツェロプーロスの手に渡り、現在は娘のコリーヌ夫妻と総支配人のポール・ポンタリエの手によって、運営、生産されています。

 

シャトー・ラトゥール

シャトー・ラトゥールは、1962年までシャトー・ラフィットと同じ、セギュール侯爵の末裔が所有していましたが、その後、イギリス人の手に渡ります。

 

1993年にフランソワ・ピノー氏が所有し、現在はフレデリック・アンジェラ氏が支配人となっています。

 

減農薬にこだわり、細部まで完璧を追い求められたシャトー・ラトゥールのワインです。有機栽培にこだわりオーガニック肥料を使用しています。CO2の削減にもつながり、味だけでなく話題にもなっています。

 

シャトー・オー・ブリオン

1855年のパリ万博の際、ボルドー・ワインのシャトーで、ボルドーワインの格付けでは第1級に位置付けらました。この年以降、どんな所有者も不成功になり、数多くの所有者の手に渡ったシャトー・オー・ブリオンは、困難な時代を乗り越えます。

 

所有者は、フランスの海軍大将フィリッパ・ド・シャボー、アメリカの銀行家クラレンス・ディロン、ルクセンブルク大公国大公子シャルル・ド・リュクサンブール妃と数多くの人が所有しますが、ワインの品質は賞賛されるも、数奇な運命に合い、なぜか所有者の不成功が続きます。

 

1975年ワインの品評会「パリの審判」で1970年のビンテージが赤ワインの中からオー・ブリオンが第4位に位置付けられます。

 

現在は48ヘクタールを超える土地に、赤ワインのぶどうが植えられています。世界で最もエレガントでアロマの香りを楽しむことができる、フルボディの赤ワインが作られています。

 

シャトー・ムートン・ロスシルド

ラフィットと同じく、ロスチャイルド家縁のシャトーワインです。ボルドーワインの頂点に君臨し続ける第1級のワインであるだけでなく、新たなワインの世界を切り開いてきワインの1つです。

 

堂々とした味わいの「シャトー・ムートン・ロスシルド」は、今でも新たなワインの味わい方を切り開いていています。

 

また、ヴィンテージごとに稀代の芸術家がアートラベルを手掛けていることは世界中で注目されています。ワインファンの幅をワイン好きから芸術愛好家にまで広げています。

 

ロスチャイルド家が購入した頃のシャトー・ムートンは、まだ2級に甘んじていたワインでしたが、4代に渡る努力の末、1級昇格を果たします。1973年頃のことです。

 

中でもカリフォルニアワイン界の重鎮、と呼ばれるロバート・モンダヴィ氏と共同で生み出した「オーパス・ワン」は日本でも特別な日に飲むワインとして有名です。

 

シャトーとは?ドメーヌとの違いについて~ワインの生産地と歴史のまとめ

 

フランスのワインには、長い歴史と世界で最高峰と認められるだけの努力をもって、生み出されています。フランスワインには、シャトーと呼ばれるワインの他に、ドメーヌ、グラン・クリュ、ネゴシアンと呼ばれるワインがありますが、それぞれが違った生産方法や生産場所、特徴があります。

 

その中でも、最高峰と言われる「シャトー」と呼ばれるワインには、名前以上の価値があります。

 

今回は、フランスワインで付けられるシャトーとドメーヌの違い、そして代表的なシャトーワインのご紹介でした。

 

次の特別な日には、フランスの歴史あるワインを選んでみませんか。

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