ワインに使われるぶどうの品種について解説!
ワインについて理解を深めたい人、特に「ワインソムリエ」を目指す人であれば、ワインの材料である「ぶどうの品種」についての知識も深めることが必要になります。
一口にぶどうといってもさまざまな品種があり、ワインに適した品種があります。そんな中でもそれぞれの品種によってワインの出来にどう影響するのかについての知識は重要です。
そこで、ワインに使われるぶどうの品種について解説します。
ワイン用のぶどうの特徴
まずは、ワインに使われるぶどうの基本的な特徴についてみていきましょう。
世界中で栽培されているぶどうの8割はワイン用
ぶどうはデザートやその材料として日本でも親しまれ、栽培もされている果物です。
しかし、世界中で栽培されているぶどうの約8割は、ワインづくりのために栽培されているのです。
良質なワイン用のぶどうの特徴
世界のぶどうの8割がワイン用なのですが、その中でも「良質なワイン」を作るためのぶどうには、いくつかの特徴があります。
粒が小さい
まず大切なポイントは「粒が小さい」ことです。高級品種となると、一般的な「巨峰」の半分程度の大きさしかありません。生食用の場合には大粒な方が食べ応えがあり、みずみずしさも強く表れます。
しかし、これらの特徴はワインづくりにおいてデメリットになるのです。
種が大きい、皮が厚い
次に注目するポイントは、「種が大きい」ことや「皮が厚い」ことで、良質なワインづくりにはとても重要になります。
ワインの味わいを構成する「渋み」をもたらす「タンニン」は、ぶどうの種や皮に多く含まれているので、種の大きさや皮の厚さも良質なワインづくりを大きく左右するのです。
ワイン用と生食用のぶどうの違い
次に、「ワイン用ぶどう」と「生食用ぶどう」の違いについて、より具体的にみていきましょう。
タンニンの量
まずは、「タンニンの量」です。ワイン用ぶどうはタンニンが多く、逆に生食用は少ないです。
前述の通りタンニンはワインの味わいを構成する一因「渋み」に関わる物質であり、これが少ないぶどうだとワインの味わいのバランスが崩れてしまうのです。
ワイン用は香味成分多い
次に、「香味成分」です。ワイン用は香味成分が多く、生食用は比較的少ないです。香味もまたワインづくりにおいて重要なポイントの1つであり、小さな粒のワイン用ぶどうには香味成分が凝縮されているのです。
生食用は実の部分が多くみずみずしい
生食用ぶどうのほうが「実の部分がみずみずしく、水分量が多い」という特徴があります。
そのほうが生で食べる分には良い特徴ではあるのですが、香味成分などワインづくりにおいて重要な成分が薄くなるため、品質の良くないワインになってしまうのです。
赤ワイン用のぶどう品種
では、実際によく使用されている「赤ワイン用」のぶどうの品種を4つ紹介していきましょう。
カベルネ・ソーヴィニヨン
「カベルネ・ソーヴィニヨン」は、フランスのボルドー地方が原産とされているぶどう品種です。世界中で栽培されている品種であり、濃い目のワインを作るのに欠かせないぶどうです。
栽培地域の気候によってぶどうの出来が大きく異なり、涼しい地域であればタンニンと酸が引き締まり、暖かい地方であれば濃厚で厚みのある味わいに仕上がります。
「赤ワインらしい赤ワインが出来る」ことでも知られており、しっかりとした骨格のワインを楽しみたいのであれば、この品種から作られた赤ワインをおすすめします。
しっかりと噛んで味わう「赤身肉(牛肉や子羊肉など)」のステーキやローストとの相性が良いです。
シラー
「シラー」は、原産であるフランス南部のローヌ地方を中心に、こちらも世界中で栽培されている品種です。「シラーズ」とも呼ばれており(オーストラリア)、果実味が凝縮された品種のぶどうです。
色が濃く、熟成ワイン向きのぶどうでもあります。スパイシーな深い香りも魅力であり、「軽めのワインでは物足りない」という人はシラーから作られた赤ワインをおすすめします。
シカ肉やカモ肉など血の香りのするジビエ肉を、黒コショウをきかせてローストした料理との相性が良好です
メルロー
「メルロー」はボルドー地方原産のぶどうであり、ボルドー地方の「ポムロール」「サンテミリオン」が有名です。
この品種だけで作られるワインもありますが、ほかの品種とブレンドしたワインも楽しむことができます。タンニンが穏やかな品種であり、滑らかな舌触りのワインに仕上がります。
軽すぎないものの同時に重すぎない仕上がりとなるため、適度な重みのある赤ワインを楽しみたい人におすすめです。
肉の煮込み料理など、やわらかな肉質の料理との相性が良いです。
ピノ・ノワール
「ピノ・ノワール」は、原産地であるブルゴーニュ地方を中心に栽培されており、アメリカやニュージーランドでも栽培されている品種です。
しかし、この品種は栽培が難しく、土地を選ぶ品種でもあります。
タンニンが少なく、高貴なテイストのワインを味わうことができます。重さと渋みの強いワインは苦手だという人には、この品種のみを使用したワインをおすすめします。
鶏肉など鳥系のきめ細かな肉質の料理と合わせると良いでしょう。
白ワイン用のぶどう品種
次に、「白ワイン用」に使用されているぶどうの品種について4つ解説します。
ソーヴィニヨン・ブラン
「ソーヴィニョン・ブラン」は、ボルドー地方またはロワール地方を原産とし、中心的に栽培されている品種です。世界中で栽培されている品種でもありますが、中でもニュージーランドではこの品種の栽培に成功しているとされています。
この品種で作られたワインは、ハーブや柑橘系を思わせるような仕上がりとなり、ニュージーランド産のものはパッションフルーツのような特徴的な香りをもちます。
清涼感と引き締まった酸味をもたらすため、さわやかで辛口の白ワインが良いという人におすすめです。
軽めの白身魚や緑の野菜との相性が良く、ハーブやレモンを使用した料理に合わせるとなお良いでしょう。
シャルドネ
「シャルドネ」は、原産地であるブルゴーニュ地方を中心に生産されていますが、世界中で栽培されていて、栽培地域によってその表情を大きく変えるという特徴がある品種です。
例えば、涼しい地方であればキレと酸味が強く、暖かい地方であればふくよかな仕上がりになります。生産地域によって特徴が大きく分かれるため、シャルドネから作られるワインは産地の影響を強く受けて表情を変えます。
美味しいシャルドネワインを飲むためには、さまざまな産地のワインを試し、自分に合ったものを選ぶことが重要です。
これに合う食材もワインのタイプによって大きく変化し、中には濃厚な料理に合うものも存在します。
リースリング
「リースリング」は、ドイツのラインガウ地方を原産とし、中心的に栽培されています。ドイツにおいては最も重要な地位を占める品種であり、「最も高貴な品種」と表現されることもあるぶどうです。
甘口ワインから辛口ワインまで、味わいには幅広さがあります。アロマチックな品種であるため、「冷やした白ワインを飲みたい」という人におすすめです。
クセの少ない豚肉や白身魚との相性が良く、素材の特性を生かした味付けの料理に合わせると良いでしょう。
甲州種
「甲州種」は日本固有のぶどう品種であり、1000年を超える歴史をもつとされています。山梨県を中心に栽培されており、ほかの品種からは感じられない「日本らしさ」を感じる品種です。
甲州種から作られるワインは自己主張がおだやかで、さっぱりとしてきめ細かい酸味を味わうことができます。
魚介を中心に、さまざまな和食との相性が良好なワインです。和食と一緒に白ワインを楽しみたい人におすすめです。
ワインに使われるぶどうの品種について解説!のまとめ
ワインは使用するぶどうの品種によって、その表情を大きく変えることがわかります。
どんなワインを味わいたいのか、どんな料理に合わせると相性が良いのか、これを正確に理解することによってワインの満足度を何倍にも引き上げてくれます。
ソムリエを目指す人だけでなく、単にワイン好きな人にとってもワイン用ぶどうの品種を知ることは有意義なことなのです。
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