ワインのペアリングとは?基本知識と具体例~お料理をワインでさらに美味しく
ワインを選ぶときに、どんな基準で選びますか?
肉料理は赤ワイン、魚料理は白ワインと合わせると良いと言われていますよね。お料理とピッタリのワインを選ぶことを、結婚に例えて「マリアージュ」とも言いますが、ペアリングはその時の相性のことです。
今回は、ワインのペアリングの基礎知識と、色々な具体例をご紹介しましょう。
ペアリングとは?
レストランでお料理を決めてワインを選ぶとき、お料理にピッタリ合うワインを考えます。
ワインには、
赤ワイン
白ワイン
スパークリングワイン
ロゼワイン
という種類があります。
同じ赤ワインでも「重い」「軽い」、白ワインでも「辛口」「甘口」と違いがあります。
そして、そのワインとお料理を組み合わせることで、料理もワインも美味しくなる組み合わせをペアリングと言います。
ワインと料理の組み合わせのこと
ワインと料理の組み合わせによって、料理の味も、ワインの味も引き立ちます。ワインとの相性が悪く、せっかくの美味しいお料理を残してしまったら大変ですね。
そこで、私たちはお料理にピッタリ合うワインを見つけて、お店の人にお願いします。
コース料理の1皿に1種類ずつワインを変えて楽しむ
本来、ワインをお願いする時、オードブルやメインディッシュ、デザートと色々なコース料理1皿に1種類ずつワインを変えてお願いする、というのがベストや選び方になります。
特に、高級レストランのコース料理は、アミューズ(突き出し)からコーヒーまで、すべてをそろえると、フレンチで11種類、イタリアンで7種類になります。
ポワソン(魚料理)の時に白ワイン、アントレ(肉料理)の時に赤ワイン、オードブル、チーズ、サラダ、フルーツとすべての皿に対して、1種類のワインをお願いする、というのが最も格式の高いお料理とワインの選び方になるようです。
自分で選んだり、ソムリエに任せたりする
ワイン通の人は、料理のコースメニューを見た後に、ソムリエに1つ1つワインを選びお願いをします。
しかし、時には、おすすめのワインがあったり、自分が希望するワインよりも美味しいワインがあると、ソムリエが紹介をしてくれます。ワインにはあまり詳しくないお客様には、ソムリエが料理に合ったワインを紹介してくれます。
しかし、丸投げの「お任せ」は、ソムリエ困ってしまいます。ソムリエもプロとは言えすべてを知るわけではありません。お客様の体調や好み、予算、その時の気持ちなど、ある程度の希望を伝えて、お任せしましょう。
マリアージュとの違い
マリアージュという言葉は、年頃の若い女性ならどこかで聞いたことがあるかもしれませんね。
フランス語で「結婚」を意味します。結婚を目前に控えた女性向けの「マリアージュ」という雑誌がありますね。他にも、ブライダルサロンや結婚式場などで目にすることがある言葉です。
ワインを選ぶとき、マリアージュとペアリングの両方の言葉を使うことがあります。どちらも、お料理に合ったワインということですが、マリアージュとペアリングは実際には、どう違うのでしょうか。
マリアージュはフランス語で結婚のこと
マリアージュはフランス語で「結婚」を意味します。結婚は、一生に一度、人生を共にする相手と、婚姻関係になることですが、ワインを選ぶときも結婚に例えて使われています。
最も相性が良い、組み合わせることで新たな味を生み出すような最上の組み合わせをマリアージュと呼びます。
ペアリングは相性を楽しむ(ハーモニー)
ペアリングはお料理とワインとの相性を楽しむものです。一緒に食べて飲むことで、コクのある肉料理にさらにコクの高い赤ワインを組み合わせる、さっぱりとした白身魚に辛口の白ワイン組み合わせる、といった料理とワインの相性を楽しみます。
ちょうど、グループ交際で出会い、お付き合いが始まった、カップルのようなものですね。
マリアージュは組み合わせて新たな味を生む
マリアージュは、ペアリングで相性がいい同士はもちろんですが、さらにペアリングを知ったうえで、最も相性の良い組み合わせをしていくことになります。
組み合わせることで、「合うね」だけでなく、さらにワインの味やお料理の味を引き立たせて、より美味しい新たな味を生み出すことになります。
しかし、基本のペアリングを知らないと、適当な組み合わせをしてしまいます。
きちんとしたソムリエがいるレストランやワインバーなら、おすすめを教えてもらえるので基本的なものを飲むことになりますが、家で「名前が有名だから」と購入して、お料理と合わないとなったら、ワインが嫌いになってしまうかもしれません。
まずは、基本的なペアリングを知って、さらに相性以上のものを生み出すマリアージュも楽しめるワインの選び方が解ると良いですよね。
ペアリングの方法
ペアリングをする時、肉料理は赤ワインと決めつけてしまうことがあります。
しかし、同じ肉でも牛肉と鶏肉では、性質も味も違います。鶏肉料理なのに、肉料理だからとフルボディの赤ワインをお願いしてしまうと、ワインが勝ちすぎて、お料理がつまらないものになってしまうかもしれません。
これは、魚料理も同じです。同じ魚でも定住性の白身魚、回遊性の赤身魚、白身だけれどコクのあるサーモン、魚介類と色々あります。一概に辛口の白ワインに合う、というわけではありません。
似ているもの同士を合わせる
一番簡単な選び方は、お料理の色やコクと、ワインの色やコクを合わせると簡単です。
コクとコク、さっぱり料理に辛口ワインなど
同じ肉料理でも、ソースにドミグラスソースを使ったビーフストロガノフやビーフシチュー、ステーキは、同じようにコクのあるフルボディの赤ワインを選びます。
逆に、さっぱりとしたヒラメのムニエルや鯛のポワレには、すっきりとした辛口の白ワインを選びます。
生魚を食べるのは日本人だけでなく、イタリアでも食べられます。カルパッチョは、さっぱりとした魚料理になりますので、辛口の白ワインがピッタリですね。
魚料理でも、赤身のカジキマグロのグリルは、ミディアムボディやライトボディの赤ワインでもペアリングに向いていることがあります。
対照的なものを合わせる
似たものを合わせるのは基本ですが、対照的なものを合わせたほうが良い場合もあります。
塩気と甘みなど
甘いフルーツに、甘いワインを合わせるよりは、すっきりとしたワインと合わせる方が良いと言われています。コースには、チーズというものもあります。
例えば、塩気の強いブルーチーズに極甘口の白ワインを合わせると、より味が引き立つ、という合わせ方もあります。
ペアリングの具体例
それでは、ワインとお料理のペアリングの具体例をご紹介しましょう。
料理のソースに適度な塩分があると、ワインの苦味や渋味が和らぎます。塩味にワインの渋みが合わさり、まろやかに感じられるようになります。
<白ワイン>
アンチョビとオリーブのような塩味の強い食材を使ったトマトパスタには、辛口の白ワインを合わせてみましょう。
魚介のグラタンや鯛のカルパッチョ・出汁が効いたアクアパッツァも塩辛いお料理になりますので、辛口の白ワインを合わせることになります。
逆にワインの酸味が気になる時は、お料理にレモンやライムを使ったソースを合わせると良いでしょう。
ゴーヤやピーマン・セロリと・春菊いった苦味の強い食材を使った料理には辛口の白ワインを合わせてしまうと、さらに苦みが増してしまいます。
<赤ワイン>
赤ワインの酸味が気になる時は、牛ステーキのソースを甘味のあるものではなく、レモンやマヨネーズを使ったディルソースをかけると、ワインの酸味を和らげることになります。
フルーツやハチミツといった甘いものはワインの苦味や渋味を際立たせます。肉とフルーツのメインに、少しサッパリした若い赤ワインを合わせてみましょう。
鴨肉や鶏もも肉に、リンゴやドライプルーンを入れてグリルしたものなら、コクと甘味と酸味が赤ワインに深みを与えて、両方の味を際立たせます。
旨味も甘味と同じく、ワインの苦味や渋味を際立たせることができます。旨味を多く含む野菜や、ソースの他に、キノコや魚介類などは旨味の宝庫です。
パセリをたっぷりと使ったラム肉のステーキ」香草ソース添え」には、果実味の芳醇な香りを楽しめるスパイシーな赤ワインを合わせてみましょう。さらに深い味わいを楽しむことができます。
<白ワイン/赤ワイン>
パスタとワインを組み合わせる時は、オイルソースやクリームソースといった白いソースなら、辛口の白ワインを合わせます。ミートソースのような赤いソースの時は、赤ワインを合わせる、といったペアリングにしましょう。
牛肉の旨味と玉ねぎの甘みがひきたつビーフストロガノフは赤ワインというのが基本ですが、白ワインを合わせることもできます。白ワインのフレッシュ感がおちついて深みのあるワインへと味そのものが変化することを楽しむという飲み方もあります。
レストランでペアリングを楽しむポイント
レストランでペアリングを楽しむポイントは色々あります。
ペアリングコースがあるお店を選ぶ
ペアリングのコースがあるお店があります。自分で、お料理と上手なペアリングが難しい時は、こういったお店で色々と勉強してみましょう。
コースが6,000円、ペアリングコースは10,000円といったレストランがあります。すでに、メニューの中にお料理と、お料理に合ったワインがペアリングしてあります。
自分で選ぶのは難しい、という時はこういったコースを選ぶと簡単にお料理似合ったワインを楽しむことができます。
ボトルの劣化との関係
コース料理に合わせて、ボトルでワインをお願いすると、1つのコースで5本も6本もお願いすることになります。せっかくお料理を楽しむための時間が、ワインでお腹がいっぱいになってしまったり、酔ってしまったらもったいないです。
そのために、ボトル途中で飲み残す、ということになってしまいます。飲み残して、次の機会にと言っても、ボトルの中身が劣化してしまい、同じ味を楽しむことができません。
ペアリングコースは、こういった心配がない様に、飲み切れる量を提供してもらうことができます。
予算をみておく
自分でお料理に合わせたワインをペアリングする時は、あらかじめ予算を考えておきましょう。いくらお料理の味を引き立たせてくれても、お財布の中身を心配しながらでは楽しめません。
まず、お店のグレードはどれくらいなのか、お料理のコースの金額は、それに合ったワインはいくらくらいで提供してもらえるかを予め調べておきましょう。
そして、自分でも、ソムリエの人にお任せをする前に、「予算」を伝えておきます。すると、予算にあったワインを提供してもらうことができます。
苦手なワインはあらかじめ申告
ペアリングをする時、あらかじめ苦手なワインは伝えておきましょう。その他にも、体調や気分なども伝えておくと、自分にピッタリとあったワインをおすすめしてもらえます。
いくら高額で級の高いワインでも、自分が苦手な味や体調によっては重く感じてしまうこともあります。こういったことを伝えておくと、お料理の味も少し変えてもらうことができます。
「苦手なワインはあらかじめ申告」
を忘れないようにしましょう。
変更してもらえることが多い
はじめにオーダー―をお願いしたら、すべてをそのままにしなければいけないのか、と言うとそういうわけではありません。
高級レストランになればなるほど、お客様をお迎えし、お客様が楽しみながらお料理とワインを堪能し、そして気持ちよくお店を出るまでがサービスです。
そのためには、途中でお腹がいっぱいになってしまった、ということならワインの種類や量を変更してもらうことができます。無理に詰め込んで、苦しいほど食べたり飲んだりしてしまった、ということがない様にしましょう。
そして、お客様としての皆さんも、エレガントな時間を作りましょう。
ワインのペアリングとは?基本知識と具体例~お料理をワインでさらに美味しくのまとめ
どうしても、カジュアルに楽しめないと、気構えてしまう人もいるワインです。
しかし、ワインだけでなく日本酒や紅茶でも、合わせることでペアリング以上の美味しさを感じることがありますね。ワインも同じことです。
分からない時は、きちんと自分の希望を言ってお任せする、またはペアリングコースで学ぶということも大切です。
これから様々な場で、高級レストランでの食事の機会があるかもしれません。そんな時は、基本のマナーを守って、「知らないことは教えてもらう」といった姿勢があなたを助けてくれますよ。