ジャムの定義と種類について分かりやすく解説します!
ケーキやタルトにサンドされているものは、クリームだけではありません。ストロベリーケーキにはストロベリージャムが、チョコレートケーキに、マーマレードジャムが使われていることもあります。
夏になると生の苺が手に入りにくいため、ケーキの間にストロベリージャムをサンドするショートケーキがあります。他にも、ビスケットやクラッカーに、ジャムがサンドされているお菓子もあり、食べたことがある人もいるのではないでしょうか。
ジャムと言ってもいちごやオレンジだけでなく、桃やブドウ・リンゴ・ブルーベリー・ニンジン、中にはミルクやキャラメルのジャムもあります。
それでは、ジャムの定義と種類についてお話をしましょう。
ジャムの定義とは?
ジャムは、果実や野菜、花弁を砂糖やはちみつとともにゼリー、つまりゲル化するように加熱したものです。ジャム類にはジャム・マーマレード・ゼリーがあります。
ジャム
ジャム類の内マーマレード、ゼリー以外のものを示します。
マーマレード
ジャム類の内柑橘類を原料とし、柑橘類の果皮が含まれるものです。
ゼリー
ジャム類の内果実等の搾汁を原料とするものです。
果実、野菜または花弁を砂糖類やはちみつとともにゼリー化するよう加熱したもの
果物や野菜には、ペクチンという食物繊維を含んでいます。ペクチンは、不溶性と水溶性があり、未熟な果実や野菜には不溶性食物繊維のペクチンが、完熟した果物には水溶性の食物繊維を含みます。
ペクチンは砂糖やはちみつと酸、熱を加えることで独特のとろみゼリー化します。それが、ジャムの独特の食感と風味を作ります。
柑橘類の果汁やゲル化剤などを加えたもの
果物に酸が不足している場合はレモンなどの柑橘類果汁を、ペクチンが不足している場合はゲル化剤のペクチンを加えることで、ジャムを作ることができます。
糖度の基準
ジャムの糖度の基準は、日本と海外では異なります。そのため、輸入食品を扱っているお店のジャムは甘過ぎると思う人もいれば、日本のジャムをもの足りないと思う人もいます。
日本:糖度40パーセント以上
日本ジャム工業組合では、ジャムの糖度と区分が決められています。
糖度65%以上…高糖度
糖度55%以上65%未満…中糖度
糖度40%以上55%未満…低糖度
になります。日本では、糖度40%以上でジャムと言います。
日本で好まれているのは、甘さを抑えた低糖度のジャムとなっています。
ヨーロッパ:糖度60パーセント以上
ジャムの先進国はイギリスとフランスになります。
パンのおいしい国であるイギリスやフランスでは、芸術品のようなジャム・マーマレードは、おいしいパンに出会うことによって、食生活をさらに豊なものにしています。
海外では日本とは異なり、しっかりとした砂糖やはちみつの甘みで糖度の高いものが好まれ、ジャムと呼ばれています。
アメリカ:糖度65パーセント以上
ヨーロッパ以上に糖度が高いジャムが好まれるのが、アメリカです。
アメリカで最も好まれているのは、果実の原型をとどめたプレザーブスタイルのいちごジャムになります。
また、ラズベリージャムとピーナツバターを合わせたサンドイッチも人気です。アメリカの人は甘いものが好きですね。
ジャムの分類
ジャムの分類にはジャム・マーマレード・ゼリーの3種類があります。ゼリーと言うと、フルーツ果汁をゼラチンで固めたもので、ジャムとは違うもの、というイメージがありますが、どうなのでしょうか。
ジャム、マーマレード、ゼリーの3種
ジャムの分類にはジャム・マーマレード・ゼリーの3種類と言われています。
コンポートはジャムとは違う分類になりますが、コンフィチュールは、ジャムとコンポートのちょうど中間に分類されます。
ジャムはさらに、果実が少ないものと果実が多いプレザーブスタイルのものに分かれます。
一見しただけではわかりにくい製品が多い
ジャム売場には瓶入りのジャム・マーマレードの他にも果実の実を缶詰にしたもの、ゼリー状のものなどが置いてあります。
他にもミルクジャムやピーナツバター、チョコレート、はちみつとパンにトッピングするものがあります。
ミルクジャムは、果実や果汁を使っていませんので、どちらかというとピーナツバターに近いものですが、ジャムという商標名がついています。
マーマレード
マーマレードは、オレンジなどの柑橘類を原料にしてジャムのように煮詰めたものです。
オレンジなど柑橘類を原料とし、果皮が含まれているもの
マーマレードは、オレンジなどの柑橘類が原料となります。日本には、オレンジ以外にもたくさんの美味しい柑橘類があります。夏みかんや柚子、グレープフルーツなどの実と皮の両方を利用します。
皮は千切りにして水に浸し、実から果汁を絞ります。実と皮を一緒に煮ます。皮が柔らかくなったら砂糖を入れると、オレンジに含まれるペクチンの作用でゲル化していきます。
これがマーマレードです。
果皮が含まれていることが大きな特徴でありジャムとの違い
ジャムには、イチゴやリンゴ、キウイなどがありますが、キウイやリンゴの皮を入れることはありません。
マーマレードには、皮が入ることでジャムにはない食感と苦みや酸味を味わうことができます。
爽やかな香りと甘酸っぱい味わいの中にほろ苦さ
マーマレードは、柑橘類特有の爽やかな香りと、甘酸っぱさ、そして皮を入れることでほろ苦さもあります。
普通のジャムは、皮が含まれないだけでなく、柑橘類のような酸味が含まれません。
しかし、柑橘類はペクチンも多くふくむため、人工的に酸味やペクチンを添加する必要がないため、自然の味を楽しむことができます。
ゼリー
ゼリーは、果汁のみを搾汁し、ゼラチンなどで固めたものです。
搾汁を使う、完成品に果実や皮が含まれない
ゼリーは搾汁を使うため、プレザーブスタイルジャムやマーマレードのように果皮が含まれていません。
水分が多くあっさりとした味わい
ゼリーは、果実や果皮を含まず果汁のみを搾汁したものです。そのため、水分が多くあっさりとした味わいが特徴です。ゼラチンなどで固めますが、砂糖の使用量によっては果物そのものの味を楽しむことができます。
ジャムやマーマレードのように、パンやスコーンにつけたり、菓子にはさむことなく、単独で食べるものになります。
ジャム
果実や野菜を原料に砂糖を混ぜに詰めて加工したもので、マーマレード・ゼリー以外のものをジャムと言います。
上記のマーマレード、ゼリー以外のもの
ジャムは、果実に含まれる酸とペクチンに砂糖を加えることにより、ゲル化したものです。
マーマレードとゼリー以外のものをジャムと呼びます。
パンにつける他、ロシアでは紅茶を飲む時に、一緒に食するといった楽しみ方がります。ロシアンティーは、紅茶にジャムやはちみつを入れるもの、という認識があります。
しかし、地方や家庭によって異なり、ジャムをスプーンに乗せて、なめながら紅茶を飲む、という飲み方もあります。
果実の原形をとどめているものは、プレザーブスタイルと呼ぶ
ジャムの分類の中でも果実の原形をとどめた形を、プレザーブスタイルと言います。ジャムの中にゴロッとした果実が入っているため、ジャムとは異なる食感や楽しみ方ができます。
ヨーグルトに混ぜたり、パンにつけると、ドロッとしたジャムでは味わえない、美味しさと満足感を味わうことができます。
プレザーブスタイルジャムの規定
プレザーブスタイルジャムと呼ばれるジャムには、ただ果実が入っていれば良いというものではありません。
プレザーブスタイルに含まれるための規定があります。
いちごの果実を原料とするものにあっては全形又は2つ割りの果実
プレザーブスタイルと呼ばれるものは、基本的に果実が入っていることです。果実といっても、大きさに規定があり、それよりも小さなものはプレザーブスタイルには含まれません。
「イチゴの果実を原料とするものでは、全形、または2つ割りの果実」
という決まりがあります。
イチゴを除くベリー類の果実を原料とするものは全形の果実
ベリーという名のつくジャムには、ブルーベリー、ラズベリー、ブラックベリー、クランベリーといったものと、ベリー類を混ぜたミックスベリーのジャムがあります。
イチゴ以外のベリー類は、いずれも小さめになるため、プレザーブスタイルジャムは、果実を全形で利用しています。
ジャムのうち、
「イチゴ以外のベリー類の果実を原料とするものにあっては全形の果実」
という定義があるということです。
ベリー類以外は5mm以上の厚さの果肉等の片を原料とし、その原形を保持するようにしたもの
「ベリー類以外の果実等を原料とするものにあっては5㎜以上の厚さの果肉等の片を原料とし、その原形を保持するようにしたもの」をプレザーブスタイルジャムと言います。
果実を使ったプレザーブスタイルジャムには、サクランボ、ブドウ、桃といった果物が使われています。
ジャムとコンフィチュールの違い
ジャムではありませんが、コンポートとジャムのちょうど中間のような果実の加工品に、コンフィチュールがあります。日本ではあまり、流通していないためイメージしずらいかもしれません。
日本でコンフィチュールの規定はない
日本では、コンフィチュールとは、果物を砂糖やはちみつ、香辛料などと一緒に煮詰めて作る保存に適した食べ物に名づけています。
しかし、一定の規定がないため、作るメーカーやお店によって、独自の調味料を使用した作り方をしています。
統計的あるいはイメージしかない
私たちの家庭ではジャムの瓶詰めを購入する、または果物の缶詰を購入する、の2択を選ぶことが多いです。
果物の缶詰は、コンポートのさらに果実の形がそのまま残ったものになります。形的に、コンポートは缶詰に近いものになりますが、缶詰は缶に詰めることで長期保存を可能にしています。
コンフィチュールは、コンポートよりもジャムに近いものです。そのため、統計的に、こういったものをコンフィチュールと呼ぶ、と区別している感じです。
ジャムよりもさらりとして、甘さも控えめ
コンフィチュールは、ジャムよりも砂糖の量が少なめで、ジャムほど時間をかけて煮詰めません。そのため、果実の形が残ったものになります。
コンフィチュールは、果物をカットすることなく、煮詰める前に1時間ほど砂糖と混ぜて果汁を浸透させておきます。
煮詰める時間が、15分~30分と短めなので、ジャムのようにトロトロになることはあまりありません。
糖度もジャムのように、40%以上という規定はなく、少な目のものが多くさらりとしています。
材料が複雑なもの
ジャムは砂糖やはちみつ、ペクチンを加えて作りますが、コンフィチュールは、砂糖の他に香辛料や酢、リキュールなど作る人によって、独自の複雑な調味料を利用します。
スパイスやリキュールを加えたもの
日本では、正式な違いの定義はありません。中には、ジャムは英語でコンフィチュールはフランス語、と分けている人もいます。
また、ジャムは糖度が40%以上のもの、コンフィチュールは砂糖の他に、スパイスやリキュールを加えたもの、という分け方をしています。
果肉を最後に漬け込むため、果実の形状が残されているものが多くプレザーブスタイルにも近い
コンフィチュールは、果実の形をそのままに砂糖に果肉を最後に漬け込んで作ります。
そこで、砂糖が控えめのプレザーブスタイル、または果実が大き目のプレザーブスタイルとイメージしてもらうと一番分かりやすいでしょう。
ジャムの定義と種類について分かりやすく解説します!のまとめ
色々なジャムについてのご紹介でした。
イチゴのジャムが好き、マーマレードは苦みがあるから子どもは苦手など、店に並べられているジャムやマーマレードを、漠然と購入している私たちです。
しかし、正確にその違いや定義まで、気に掛けることはあまりありません。
おそらくパン文化の欧米と比較し、ご飯を主食とする日本では、欧米の人ほどジャムに気を掛けることは少ないのかもしれません。
しかし、定義があることを知ると、ジャムに対する見方が変わってきたのではないでしょうか。
次回、ジャムを購入する時は、定義を思い出しながら、自分好みのものを選んでみましょう。
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