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焼酎と日本酒の違いについて

日本酒と焼酎ってとても種類が多くて何を飲んでいいのか迷うけれど、今さら周りに違いを聞けない方も多いのではないでしょうか。
原材料の違いだけだと思っていたら、焼酎も日本酒と同じく原材料がお米というのもあり、一筋縄ではいかない感じです。
女性にとって気になるカロリーは、日本酒と焼酎ではどちらが低いのでしょうか。違いが色々わかれば料理に合わせて選んだり、自分のお気に入りの飲み方を見つけたりすることもできますね。
ここでは、焼酎と日本酒の入門編といったかたちで紹介していきます。

目次

焼酎と日本酒の違う点とは?

まず、原料について違いはあるのか、みていきましょう。

1-1原料

日本酒:米と米麹を原料

日本酒の原材料は米と米麹です。日本酒に使われる米は、普段食べている米ではなく酒米(さかまい)といった日本酒を作るための米になります。
酒米で最も有名な山田錦はみなさんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
他に五百万石や美山錦などがあります。コシヒカリなどとの大きな違いは、まず粒が大きく、たんぱく質などのうま味成分やでんぷんをあまり含んでいないので炊いてもパサパサしています。
粒が大きい理由は周りを削って中心の白い部分「心白」を使って、日本酒を作ります。削る量によって吟醸や大吟醸などの日本酒になります。
食べるための米は外側にあるでんぷんやたんぱく質、脂質が美味しさにつながりますが、日本酒にとっては雑味や苦みとなってしまいます。
酒米は精米したときに出来るだけ心白を残すために大きい米粒となっています。

焼酎の原材料

麦、芋、米、黒糖など様々なもので作られています。それと3種類の麹「黒麹・白麹・黄麹」が使われます。焼酎は原材料の鮮度によって味が左右されます。
例えば、芋焼酎に使われるさつま芋は仕込む前日または当日の朝に収穫します。
さつま芋に傷があった場合、手作業できれいに取り除かなくてはなりません。さつま芋の傷んだ部分から抗菌性のある物質を分泌して、焼酎の劣化臭の原因である芋傷み臭が発生してしまうからです。

1-2同じ米を原料とした米焼酎と日本酒の違う点

製造方法

日本酒と同じように米が原材料の米焼酎があります。日本酒は日本酒の為に作られた酒米を使用し、外側を削って心白を使います。
日本酒は30~40%削り、高級なものになると50%以上、中には70%も削って使うものもあります。
一方、米焼酎は10~15%削るだけで問題がないので、酒米ではなく普通の米で作られることが多くみられます。

アルコール度数

<日本酒>
製造方法が醸造ということもあり、アルコール度数には限界があります。
また、日本は酒税法によって日本酒という定義で販売するには22度以下と決まっています。
日本酒は銘柄にもよりますが15度くらいが多いでしょうか。加水していない原酒は20度くらいのものもあります。
最近は女性にも飲みやすいように5~12度くらいの低アルコールの日本酒も多く発売されています。
<焼酎>
焼酎は蒸留酒なので日本酒よりはアルコール度数は高めになります。20~25度くらいが多いようです。同じ蒸留酒のウイスキーは40~43度の銘柄が多いので、それと比べると低く感じてしまいますね。

飲み方・味わい

日本酒では苦みや雑味になるので敬遠されるたんぱく質や脂質は、それが旨味を引き出す成分となるので好まれます。

カロリー・糖質

日本酒:アルコール15% 約105kcal
焼酎:アルコール12% 約67kcal / アルコール25% 約140kcal
やはり、アルコール度数が高ければ同じくカロリーも高いですが、日本酒と焼酎で比べると日本酒の方がややカロリーは高いですね。
糖質は蒸留酒の焼酎はゼロです。日本酒は作る工程で糖分が生じるため糖質はあります。
そしてほかのお酒と比べると高く、同じ醸造酒のワインと比べると日本酒の方が2~3倍高くなります。
ちなみに、日本酒1合(約180㎖)の糖質は、角砂糖1.5個分です。おにぎりでいうと1/5個になります。糖質制限をしていない人であれば、そんなに気にしなくてもいい範囲ともいえます。

二日酔いのなりさすさ

さまざまな情報が入り乱れています。日本酒は悪酔いや二日酔いになりやすいと言われることも多いです。同じアルコール量を摂取していれば、何を飲んでも同じ結果になります。
ただ、日本酒は口当たりがよく、ほかのお酒と同じペースで飲むと酔いが早くなります。これは焼酎にも言えることですね。
二日酔いのなりやすさは、飲むペースが大きく関係しています。
逆に、二日酔いにならないようにするには、まずゆっくりとしたペースで飲むことが大切です。
次に、血中のアルコール濃度を上げないことです。空腹で飲まない、同量の水を飲むことなどで二日酔いにならない可能性が高まります。

焼酎と日本酒の製造方法の違い

次に、製造方法にはどのような違いがあるのか、わかりやすく比べてみました。

2-1日本酒は醸造酒

精米した酒米を米蒸し(浸漬した酒米を蒸し器で蒸す)し、一部の蒸米に麹の種を振り撒き「麹づくり」をします。
これは、でんぷん質をブドウ糖に変えるための作業で、ブドウ糖にならないと一番大切なアルコール発酵(ブドウ糖を酵母で分解する現象)が出来ないからです。

酵母の力で糖分をアルコール発酵させたお酒

次に、蒸米と冷たい水に先ほど作った麹を少し、それから酵母を入れて、酵母を大量に繁殖させます。これを「酒母(しゅぼ)づくり」と言います。
最後に仕込み部分になる「もろみづくり」をします。酒母、蒸米、麹、水を3回に分けてタンクに入れ発酵させます。
もろみづくりは20日程度かけ、タンク内での雑菌の繁殖や汚染を防ぎながら発酵をスムーズに進める日本酒独自の製法です。
熟成したもろみをしぼり、酒粕と液体に分けます。この液体を濾過し、火入れするもの、しないもの等、工程が変わると日本酒の瓶のラベルに「生酒」「生貯蔵」という風に書かれます。

2-2焼酎は蒸留酒

焼酎の製造方法は日本酒の製造方法ととても似ています。基本的に米蒸しと麹づくり、酒母づくりまでの工程はほぼ同じになります。
そのあとの工程としては、日本酒でいうもろみづくりになりますが、そろそろ焼酎の原材料を投入しなければなりません。
ただ、焼酎の原材料はたくさんあるので、その工程を全て書くと入門編でなくなってしまいます。今回は入門編なのでシンプルに、原材料を蒸して、潰したものを投入するとだけ紹介します。

発酵後に「蒸留」工程を加えて造られたお酒

もろみづくりの工程が終わったら、日本酒と大きく違う工程「蒸留」になります。もろみを加熱すると、アルコールが気体になります。簡単に言うと湯気ですね。この気体を冷却すると再度液体に戻ります。そうすることによって、高いアルコール濃度のものが出来ます。
この液体を濾過し、水を加えて味やアルコールを調整し、タンクや甕(かめ)に入れて熟成させます。

醸造酒、蒸留酒について

日本酒が醸造酒、焼酎が蒸留酒ということがこの製造方法でお分かりになりましたか。醸造酒として真っ先に浮かぶのは、ワインやビールではないでしょうか。日本酒もこの仲間になります。
一方、蒸留酒の代表としてはウイスキーでしょうか。こちらのお酒の色は透明ではなく茶色ですね。これは最後に熟成させる時に使う入れ物で変わります。
ウイスキーはオーク樽を使って熟成させるのであのような色がつきます。(中には着色料を使うものもあるそうですが)
工程に違いはもちろんありますが、日本酒を蒸留したものが焼酎、ビールを蒸留したものがウイスキー、ワインを蒸留したものがブランデーとなります。

焼酎と日本酒の飲み方・味わい・日本酒

焼酎と日本酒の飲み方についてご紹介していきましょう。

3-1日本酒

熱燗・冷酒など温度によって変わる味わいを楽しめる

日本酒は冷やして飲んだり、寒い冬には熱燗で飲んだりするのが定番です。アルコール度数のところでも書きましたが、最近はアルコール度数の低い日本酒も人気があります。
こちらは炭酸を加えたスパークリングタイプのものも出ていて、女性にとても飲みやすい日本酒となっています。
日本酒を使ったカクテルで有名なのは「サムライ」があります。ライムジュースとレモンジュースを加えたシンプルなカクテルです。
また、ソーダーとトニックウォーターを加えたサケニックも爽やかに飲めそうですね。緑茶やヨーグルト、乳酸飲料で日本酒を割っても楽しめます。

3-2焼酎

アルコール度数が高いこともあり、割って飲まれることが多い

焼酎はロック、水、ソーダー、お湯、緑茶、ウーロン茶・・・と無限大に広がります。

サワーやお湯割り、水割り、ロックなどさまざまな割り材で楽しまれる

香りを楽しみたいときの焼酎にはロックがおすすめです。ロックで一番のおすすめはやはり芋焼酎です。
芋焼酎は個性が強いので、初心者はまず紫蘇や柚子といったところから始めるのがおすすめです。

焼酎と日本酒の二日酔いのなりやすさの違い

世間では色々言われていますが、どれが正しいのでしょうか。二日酔いについては、アルコール度数の違いはもちろん体質や飲む量によって大きく左右されているので、比較するのは難しいです。
では、体にとって負担が少ないのはどちらでしょうか。お酒を飲み過ぎると肝臓への負担が一番心配ですね。アルコールを分解するのにどちらが肝臓への負担が少ないかを考えると、不純物の少ない焼酎とも考えられます。

4-1日本酒:蒸留されていないので二日酔いになりやすい

日本酒は醸造酒ということもあり、アルコールには不純物がどうしても混じってしまいます。

4-2焼酎:日本酒に比べ二日酔いになりにくい

一方、蒸留酒である焼酎は蒸留工程で不純物が取り除かれているため、不純物が混じっていないアルコールです。
その点から日本酒より焼酎の方が肝臓への負担が少ないので、人によっては、焼酎の方が二日酔いになりにくいと考えられています。

焼酎と日本酒の糖質とカロリー

5-1日本酒

醸造しただけなので糖質が多く含まれ、カロリーも高い

醸造酒は、蒸留酒と違い何かを省く工程はありません。そのため、原材料の成分が多く残ってしまいます。糖質もその1つです。
糖質由来のカロリーは残糖分があるため、少しカロリーが高くなってしまいます。

辛口のほうが残糖量が少なく、糖質由来のカロリーは少ない

日本酒には甘口と辛口があります。とても簡単に分けると糖が多いものが甘口、少ないものが辛口になります。実際には酸度なども関係してきますが今回は省いて説明します。
辛口は、残糖量が少ないので甘口と比べると糖質由来のカロリーは低いと考えられるでしょう。

5-2焼酎

蒸留により不純物・糖質が取り除かれるので糖質由来のカロリーは低い

焼酎には甲類・乙類があります。簡単に説明する蒸留を単式蒸留機か連続式蒸留機を使うかの違いです。

乙類 

単式はとてもシンプルな蒸留の仕組みになっているので、アルコール以外の香味成分も抽出され原料独特の風味や味わいが活かされます。アルコール度数は36%未満です。本格焼酎とも言われる芋や麦、米などが乙類になります。

甲類

連続式は、単式で繰り返し蒸留することをイメージしてもらうと分かりやすいかもしれません。こうして高純度のアルコールが取り出され、無色透明でピュアな味が特徴の焼酎になります。アルコール度数は45%以下です。
焼酎は蒸留工程で原材料のエキス分が取り除かれるため、糖質は含まれません。
しかし、アルコール度数が高ければ、カロリーも高くなります。

割って飲む場合、割り材に含まれるカロリーが大きくなることも

甲類焼酎はくせがなくピュアな味が特徴なので、すっきりとした味わいを楽しむロックもおすすめですが、酎ハイやサワー、お湯割り、果実酒など飲み方は無限大です。
しかし、この割り材に含まれるカロリーを考えないと、とても高カロリーなものに変わってしまうので気を付けてくださいね。

今さら聞けない日本酒と焼酎の違いのまとめ

日本酒と焼酎の違いが少し分かると、メニューやラベルにも興味が持てるのではないでしょうか。 
ご自宅で飲まれる方は酒器にも色々こだわると楽しみ方の幅が広がります。
今は日本酒用のワイングラスが販売されるくらい、ワイングラスで日本酒を飲むのもポピュラーになっています。その日の気分、お酒によって変えるのも楽しいですね。
ぜひ、自分のお気に入りの日本酒や焼酎を見つけてください。

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