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焼酎の熟成期間と貯蔵方法について

焼酎の製造から出荷までの熟成期間や貯蔵方法などによって、焼酎それぞれ違いがあって個性が生まれます。

まるで赤ちゃんがこの世界に誕生するまでのドラマのようです。お母さんのおなかでの熟成期間は10ヶ月、貯蔵方法(こんな言い方してすみません)はお母さんの胎教や環境によって違ってくる・・・。

こんな例えがピッタリくるのが、焼酎の熟成期間や貯蔵方法です。

普段、何気なく飲んでいる焼酎の熟成期間や貯蔵方法を知ることは、自分がこの世界に生まれてくるまでのことを知るようなものです。

詳しく知ることで、さらに焼酎を深く知って美味しく飲めるようになるはずです。

まずは、焼酎の熟成期間からみていきましょう。

焼酎の熟成期間

焼酎のような蒸留酒は熟成することで旨味が増すといわれますが、新酒でも美味しいものがあるのが日本の蒸留酒の特長です。

本格焼酎や泡盛は新酒でも美味しく飲める

本格焼酎である芋焼酎は、芋の収穫期になると蒸留したばかりの、または貯蔵期間が短い新酒が販売されます。

蒸留したてや貯蔵期間が短いと芋の香りが濃厚に感じられて、芋焼酎ファンにとってはとても魅力的に感じられるものとなっています。

芋焼酎の新酒が出回る時期の11月1日が「本格焼酎・泡盛の日」(1987年設定)ということになっているぐらい、新酒の愛好者は多いのです。

新酒と熟成酒の違いは貯蔵期間です。

泡盛は3年以上熟成されたものは古酒、3年未満のものは新酒と呼ばれています。

製造から1ヶ月~3ヶ月後には出荷されることがほとんど

焼酎を仕上げる最低限必要な期間を経て出荷されます。その期間は1ヶ月~3ヶ月です。

必要最低限な熟成をさせることでガス臭を抜いている

1ヶ月~3ヶ月かかって、蒸留したての焼酎に含まれている「新車のような臭い」といわれているガス臭を抜きます。

このガス臭の正体は人の皮膚や粘膜を刺激するアルデヒド類や油分で、飲みやすさのためには最低限、取り除くことが必要なものです。

長期間熟成させることでよりおいしくなる

新酒は原料やアルコールのパワーが強く通好みの美味しさですが、まろやかさやコクを感じられて飲みやすいのは熟成された熟成酒です。

長期熟成の区分と効果

熟成酒には熟成期間によって効果が決まっています。

一般的な焼酎の場合の長期熟成の区分と効果は次の通りです。

初期熟成(3ヶ月~6ヶ月):刺激臭の減少

蒸留したての焼酎にある「ガス臭」や油分の臭いを減少させる期間です。油分は空気に触れると酸化して油臭となります。貯蔵することで油が表面に浮いて、それを除去することで油臭を減少させます。

中期熟成(6ヶ月から3年):香りの安定

ガス臭を飛ばせることで香りが安定して酒質も安定してきます。

古酒(3年以上):酒質の向上

酒質が向上するためには、水とアルコールが一体化することが必要です。水とアルコールが一体化するためには長期の貯蔵期間が必要です。

アルコールが水を包み込むようになると酒質が向上します。

長期熟成で有名なのは沖縄の本格焼酎「泡盛」です。お酒の総量のうち50%以上が3年以上の熟成酒の場合「長期熟成」のラベルが貼られます。

焼酎の貯蔵方法

続いて、焼酎の貯蔵方法について詳しくみていきましょう。

容器や保管場所が蔵によって違い、それが個性としてあらわれる

泡盛の保管場所が鍾乳洞という蔵元もあります。鍾乳洞の中は湿度もあり、年間通して温度が約18度と安定もしているので泡盛を寝かせておくのに最適ということです。

基本的には蔵の中で貯蔵することが多いですが、洞窟やトンネル跡を利用するケースもあります。

貯蔵容器

熟成させるための貯蔵容器も蔵によってそれぞれ個性があります。

現在、一番多いのがステンレス製やホーロー製のタンクです。

かめ :口当たりよくまろやかな風味になる

かめ壺は土に埋めて使用されます。

<メリット>

メリットは、素焼きのかめには細かい気孔があってここを空気が通ることで、ガスが抜けるのも早く熟成が早く進むところです。

また、かめに含まれる無機物と焼酎が絡み合って、焼酎の味わいがまろやかになるのもメリットです。

<デメリット>

デメリットとしては、焼酎本来の香りや味わいが消えやすくタンクに比べて容量が小さいことです。

樽 :一般に甘味が強くなる

主にウィスキー樽、シェリー樽、新樽などが用いられます。

<メリット>

メリットとしては、樽の香りが焼酎に移って個性的な風味がつくられるとともに、熟成により琥珀色に色がつくというところです。

<デメリット>

デメリットとしては、色が付きすぎるのを注意しなくてはいけないところです。酒税法では、色が付きすぎると焼酎ではなく、ウオッカやジン、ラム、テキーラなどと同じスピリッツと表記することになります。

それを防ぐために、長期の貯蔵になる場合は、樽とタンクのように他の容器と併用するように工夫している蔵もあります。

ステンレス製やホーロー製のタンク

タンク内の蒸留直後の焼酎に含まれるガス臭をかき混ぜることで、ガス抜きさせ熟成を進ませます。

<メリット>

メリットとしては大容量のため生産性に優れるところです。容器の匂いが焼酎に移りにくく品質が一定なのもメリットといえます。

<デメリット> 

デメリットは熟成速度がかめ貯蔵、樽貯蔵と比べ遅いことです。

その他

泡盛の場合、「仕次ぎ」と呼ばれる貯蔵方法があります。最初に一番古いかめから泡盛を入れて、減った分を次に古いかめから入れていき、それを繰り返すという方法です。

泡盛のような古酒の熟成、貯蔵方法を知ると、飲む時もさらに味わって飲めるようになりますね。

また、ラベルに「甕(かめ)仕込」などと貯蔵方法が記載されているものもありますから、貯蔵方法による違いを味わう楽しみもあります。

焼酎の色

焼酎は色の規定が酒税法に記載されています。光電光度計を使って測定して、着色度が0.080以下と決められています。

ちなみにウィスキーの着色度は0.4~0.8ぐらいです。酒税法の規定があるから、焼酎は無色透明なのですね。

ところが、無色透明な焼酎のなかにも、うっすら琥珀色の焼酎もあります。琥珀色とはウイスキーの色を例えていう時に使われる色で、透明感がある黄色みを帯びた茶色、黄褐色のことです。

焼酎をウィスキー樽などの樽の貯蔵容器で熟成して造ると、琥珀色の焼酎になります。

樽での長期熟成では琥珀色がだんだんと濃くなる

樽で熟成された焼酎は、熟成が進むにつれて琥珀色が濃くなります。濃くなると酒税法で決められた焼酎の着色度からはずれてしまい、焼酎として認められなくなります。

色の濃さも酒税法によって制限されている

色が付き過ぎるとウイスキーと混同するため

色が付きすぎるとウィスキーと混同するため、焼酎の色が基準の着色度から離れてしまった場合は、濾過して脱色したり、無色透明の他の焼酎とブレンドしたりして色を薄めていきます。

樽とタンクなど他の容器を併用しながら長期熟成させるよう工夫

色が付くのを注意することはもちろんのこと、他の貯蔵容器と併用することで濃くならないようにする工夫もあります。

色がつくのは、樽の材料からでるタンニン(赤ワインの渋み成分で赤ワインの色を安定させるもの)などの成分がアルコールに溶けるからです。

そこで、樽とタンクなどを併用することで、長期熟成しても色がつきにくい焼酎になるように工夫されています。

焼酎は寝かせた方が美味しい!?目からうろこの熟成期間や貯蔵方法のまとめ

焼酎は熟成させることで美味しくなりますが、本格焼酎や泡盛は熟成させない新酒でも美味しいお酒です。

また、焼酎の色は酒税法で規定されていて、樽で造られる焼酎は色が付きすぎないように工夫がされていることもわかりました。

蔵元のいろいろな工夫や苦労があって、それでようやく焼酎が店頭に並ぶのですね。

店頭に並ぶ焼酎への見方も変わってきます。

焼酎のパッケージやラベルに、貯蔵方法を表す「樽仕込」や、熟成の度合いを表す「長期熟成」が記載されているのを見るのが楽しみになりそうですね。

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